2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591117
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Research Institution | Toyama Institute of Health |
Principal Investigator |
滝澤 剛則 富山県衛生研究所, ウイルス部, 部長 (40192158)
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Keywords | ノロウイルス / 疫学 / 感染性胃腸炎 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
平成22年度は集団発生事例が24事例あり、遺伝子群II/遺伝子型4(GII/4)が16事例から検出された。また、6,8,9,11月以外の月に採取した下水流入水からもGII/4が検出され、平成22年度も引き続きGII/4が流行の主流であった。GII/4の中でも、主に2006b亜型が集団発生事例と下水流入水の両者から検出され、それらは系統樹解析からも近縁であることが判明した。集団発生事例のなかった月からも、2006b亜型が下水流入水から検出されていることから、この亜型が不顕性感染により依然として地域内に存続していることが考えられた。一方、GII/4の中でも2008/2009シーズンから検出された2008a、及び2009a亜型(本村ら、雑誌論文3)は、集団発生事例のみから検出され、下水流入水からは検出されなかった。これらの亜型は、カプシド領域の抗原性が2006b亜型から変化しているとされ(前述論文)、今後集団発生事例が増加すると、下水流水からも検出される可能性が考えられる。GII/4以外では、集団発生事例からはGI/7,8、GII/2,3が、下水流入水からはGI/1,4,14、GII/2,13が検出された。GII/2は両者から共通に検出され、系統樹解析からも近縁であることから、この型が地域内にある程度浸潤していることが示唆された。これ以外の型は、共通には検出されていないことから、ダイレクトPCRでは検出されない程度の小規模な感染か、一時的な感染であったことが考えられた。下水流入水から検出されるためには、ある程度の集団感染が必要であると考えられた。本年度下水流入水から検出されたGII/13は、一昨年度新たに見出されたポリメラーゼ領域にGII/7を持つ組換体(中村ら、2009年)であることが判明し、GII/13は組換体が継続して地域に浸潤している可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)