2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591120
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植松 貢 東北大学, 病院, 講師 (90400316)
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Keywords | 髄鞘化障害 / マイクロアレイ / MBP / Angelman症候群 |
Research Abstract |
先天性髄鞘化障害は頭部MRI検査で比較的容易に診断可能であるが、PLP1遺伝子異常以外の遺伝子異常は極めて稀であり、その多くは原因不明のままである。申請者はシークエンス法をとMLPA法を用いた簡便で安価なスクリーニング法を確立し、平成22年度までに全国から検体を収集してこれまで20例の解析を行った。その解析の中で、通常の染色体検査で18番染色体1本の長腕末端に欠失が疑われたが、MLPA法で確認したところMBP遺伝子のコピー数異常を認めない症例を1例認めた。この症例の欠失部位を確定するためにCGHアレイ法による解析を行ったところ、MBP遺伝子は欠失しておらず、そのさらにテロメア側に切断点があり欠失していることが確認され、候補遺伝子の存在が疑われた。本研究では、髄鞘化障害の候補遺伝子を検索するため18番染色体を含めたCGHアレイを用いた網羅的な解析を行い、同部位の欠失の存在に関してCGHアレイによる網羅的解析を行うことを目的としている。今年度は申請者がこれまで収集した先天性髄鞘化障害の症例20例に加え、平成22年度に4例、平成23年度には3例を収集した。その薪たな7例に対し、シークエンス法とMLPA法を組み合わせてPLP1、GJA12、MBPの3つの遺伝子の解析を行ったが、いずれも異常所見を認めなかった。CGHアレイの解析は、PLP1の異常が判明した3例を除いた全24症例に対して行い、全前脳胞症の原因遺伝子であるSHHの欠失を男性1例に認めた。また、環状18番染色体をもつ症例が今年度収集した3検体に含まれており、CGHアレイを行った結果、その症例ではMBPは欠失していた。しかし最近、MRIにて髄鞘化障害を疑う大脳白質異常を持つ18q-症候群の症例の剖検例の報告では、脳神経軸索にてMBPの発現を認め、髄鞘化に異常はなかったとのことであった。27例の中で18q-症候群3例中2例はMBP欠失あり、1例は欠失を認めていないが頭部MRI上は異常所見に差がなく、MBPが18q-症候群の責任遺伝子ではないことがさらに示唆された。さらに、SNPアレイを用いて解析を開始し、まだ数例の段階だが15番染色体全体がloss of heterozygosityとなっている女児例があり、今後さらに解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの24例に加え、さらに3例の検体を収集し解析を行えた。環状18番染色体の症例が含まれており、MBPの異常と髄鞘化障害についての考察が容易となった。また、SNPアレイを導入して解析を行い、1例に15番染色体のloss of heterozygosityが見つかるなど、新たな進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
・SNPアレイを用いて、他の異常が見つからなかった症例も検索しlossofheterozygosityの有無を確認する。 ・18q-症候群の臨床像にMBPは関係ないことを支持する証拠が増えてきており、さらに解析症例を増やしてそれを確かにする。 ・CGHアレイで候補に挙がっている遺伝子(SEHなど)についても、他に同様の症例がないか、症例数を増やして検索する。 ・結果を論文として発表し、学会報告等を行って成果を広く知ってもらう。
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