2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子検査の社会的要請に応じた簡便な遺伝子変異スクリーニング法の開発と普及
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22591122
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新井田 要 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (40293344)
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Keywords | 遺伝子診 / 酵素ミスマッチ法 / MLPA法 |
Research Abstract |
本年度はCEL nuclease mediated heteroduplex incision with polyacrylamide gel electrophoresis and silver staining (CHIPS)法による遺伝子診断系をさらに拡充した。比較的頻度が高く遺伝子検査が有用であると思われる疾患を抽出し,PCRプライマー設計・合成,CHIPS条件設定,実際の臨床症例の遺伝子解析を随時行った。特に、スティックラー症候群(責任遺伝子COL2A1,54エクソン)や血管型エーラス・ダンロス症候群(責任遺伝子COL3A1,51エクソン)といった責任遺伝子が巨大であるコラーゲン分子異常症に関してもCHIPS法による迅速遺伝子診断が可能であったことは、本法の有用性と簡便性を証明している。CHIPS法による診断系が確立された単一遺伝子病は、本年度中に50疾患,70遺伝子を越えた。これは一施設で可能な遺伝子検査としては国内最多レベルであると自負する。 本年度は,CHIPS法の普及のため、2011年7月16-17日、および2011年9月17-18日の2回、手技に関するワークショップを開催した。各会5名程度の参加があり、CHIPS法による遺伝子検査の実際を体験してもらい好評を博した。また、備考に記したWebサイトを立ち上げ、拡大しているCHIPS法による遺伝子解析データーをインターネット上に公開した。このサイトは現在も更新中である。さらに、CHIPS法による遺伝子検査の認知・普及のため、結節性硬化症をテストとして他施設からの検体受付を開始した。 Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification (MLPA)法の改良に関しては、Taq Ligaseを用いたサイクルによる定量的な鋳型DNA(1本鎖)の産生と、その後の拮抗PCRによる定量増幅が可能であることが示された。本法はプライマーの設計のみでMLPA法が行える利点があり、従来法に比べ遥かに簡便である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CHIPS法の実用化には問題なく、現在すでに臨床診断技術として使用している。結節性硬化症をテストとして他施設からの検体受け入れが始まっており、また本法の普及のためのワークショップの開催、Webサイトの立ち上げが完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
CHIPS法を中心とする遺伝子検査技術を普及するためにWebページの充実、ワークショップの開催を計画する。また、他施設からの希望があればPCRプライマーの提供を行う。本法の普及、認知により、最終的には日本国内に複数の遺伝子検査センターが設置され、遺伝子検査がそれを必要とする患者およびその家族に提供されるよう努める。
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