2011 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害の前頭葉機能(社会脳)に関する認知神経科学的研究
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22591123
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
相原 正男 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30242639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金村 英秋 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (40359724)
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Keywords | 発達障害 / 前頭葉機能 / 社会脳 / 認知神経科学 / 情動 / 行動抑制 / 遺伝薬理学 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
今年度の研究の目的は、新たに開発した神経心理学的課題で情動処理系を神経生理学的に解析することで、前頭葉てんかん児における前頭葉の情動処理過程の障害を定量化することにある。さらに、発達障害児の特異的障害パターンを定量化することで認知神経科学的検査結果と遺伝子多型との関連性を確立して発達障害に対する治療戦略を確立することである。 1.、前頭葉てんかん児の情動機能障害に関する検討 発達障害の病態モデルである前頭葉てんかん児を対象に、サッケード課題、stroop test、Go/No課題を薬物治療前後で検討した結果、行動抑制障害が電気生理学的手法で明らかとなった。さらに今年度から光トポグラフィでの評価も行っている。 2.発達障害児の前頭葉における認知・情動機能障害に関する検討 集団生活が困難な発達障害児(行為障害)を対象に、情動系と認知系における機能乖離を電気生理学的に実証して論文として公表してきている。さらにADHDや自閉性障害児に、stroop test、Go/NoGo、サッケード、モラル判断、MDT課題を施行して、行動抑制障害、情動性自律反応障害を電気生理学的に明らかにし学会で発表して論文投稿中である。 3.発達障害児の遺伝子多型と認知神経学的所見の関連に関する検討 発達障害児とくにADHD児の頬粘膜からドーパミン/ノルアドレナリン-トランスポーター関連遺伝子を解析して、Go/NoGo、サッケード課題を治療前後で定量化することで両者の関連を遺伝薬理学的に検討する段階になってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
発達障害は前頭葉の認知及び情動系の機能障害であることが認知神経科学的に明らかになったことで、発達障害を定量的に評価する試みが学会及び論文採択率からも仮説から定説になってきた点が挙げられる。さらに、認知神経科学的研究手法と遣伝子多型との関連性へと研究の方向性が進展してきた。
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Strategy for Future Research Activity |
発達障害はそのメカニズムが未だ不明な点は多いが、起因子の特定には分子生物学的な研究だけでは不十分である。今後の研究においては、早稲田大学理工学部先進理工学研究科と連携して分子生物学的な側面を遺伝子変異の面から解析し、遺伝子バイオマーカーの探索を認知神経科学的研究手法で評価することを検討している。本研究の学問的位置づけはgene genomicsとbehavior genomicsを繋ぐphysiological genomicsと考えており、臨床的には発達障害児に対するテーラーメードな治療戦略の確立にある。
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Research Products
(6 results)