2010 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん児の前頭葉機能障害に関する神経機能解剖学的研究
Project/Area Number |
22591124
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
金村 英秋 山梨大学, 医学部・附属病院, 助教 (40359724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 正男 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30242639)
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Keywords | てんかん / 前頭葉 / 前頭前野 / 高次脳機能 / QOL |
Research Abstract |
無熱性けいれん初発児の自然予後、てんかん移行への危険因子を明らかにするために、無熱性けいれん初発児の経過を追った。てんかん移行率は6ヵ月時点で40%前後であった。またてんかん移行の危険因子として、1)部分発作、2)脳波上の焦点性突発波の存在、が挙げられた。 次に、てんかん患児における認知障害・行動異常に関与すると想定されている前頭前野の発達を解剖学的視点より検討した。行った検討として、a)三次元MRIを撮像し、コンピュータ解析処理ソフトを用いて脳表面の3-D画像を作成。b)解剖学的に正確な部位同定を行い、前頭葉および前頭前野の体積を定量的に測定し、その成長過程を客観的に検討した。前頭葉に占める前頭前野体積の比率は思春期前後(7~15歳)で急速に増大し、以降は成人値とほぼ同様になった。これは神経心理学的・電気生理学的検討より想定されている前頭前野の機能的成熟時期と同様であり、前頭前野における成長と機能的成熟との関連が推定された。 さらに、てんかん児において高次脳機能と前頭前野体積との関連を検討した。てんかん児では多動、不注意、衝動性などの前頭葉機能障害を示唆する症状を認めることがあり、てんかん児でのQOL低下を示す要因として前頭葉機能障害が挙げられた。前頭葉機能障害を呈した児では、発作持続期間・異常脳波持続期間と前頭前野の成長障害とで関連性を認めた。このことより、てんかん児のQOL向上に発作の早期抑制、脳波の早期改善が重要であるという知見を得た。
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Research Products
(8 results)