2011 Fiscal Year Annual Research Report
熱性痙攣重積後の内側側頭葉てんかん発症の病態解明と新たな予防戦略の開発
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22591132
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
福田 光成 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (80274330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 由香 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座准教授 (00304634)
江口 峰斉 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50420782)
田中 潤也 愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 教授 (70217040)
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Keywords | 熱性痙攣重積 / 内側側頭葉てんかん / 海馬硬化症 / ラット / 温熱誘導痙攣 / てんかん原性 / 炎症性サイトカイン / 幼弱脳 |
Research Abstract |
「中枢神経系サイトカインが熱性痙攣重積後の海馬硬化症発症に影響を及ぼすのか」という本研究の最終目的を達成するため、昨年度は基本となる実験系の開発『遷延性温熱誘発痙攣(pHS)モデルの開発』を行った。この実験系をもとに本年度の研究を行った。 ・熱性痙攣重積発生時の炎症性サイトカインは、成熟期の痙攣準備性に影響を及ぼすのか 遷延性温熱誘発痙攣(pHS)モデルを用いて、熱性痙攣重積が海馬硬化症を伴う内側側頭葉てんかん(MTLE-HS)の原因となるか、炎症性サイトカインはMTLE-HS発症に影響を及ぼすかを検討した。日齢10にpHSを誘発する群、発作後と翌日にIL-1βを投与する群、及び対象群に分け、日齢70にカイニン酸を投与し痙攣出現時間(SOT)を測定した。次に日齢10と12にpHSを誘発する群、2回の発作後と翌日にIL-1βを投与する群、及び対照群に分け同様にSOTを測定した。更には炎症性サイトカインとしてTNFαを使用し、上記と同様な実験を行った。その結果、『日齢10と12にpHSを誘発し発作後と翌日にIL-1βを投与した群』のみで有意にSOTが短縮した。今回の結果は、IL-1βを過剰産生する素因を持つ乳幼児での熱性痙攣重積の反復は、成人期での痙攣準備性を亢進させ、成人期の後天性てんかん発症の原因となる可能性を示唆するものと考えられた。 現在、成熟期での痙攣準備性亢進のメカニズムを解明すべく、この唯一有意差を認めた『IL-1βを投与しpHSを反復誘発させた群』を用いた脳の病理学的検討を行っている。更には『IL-1βを投与しpHSを反復誘発させた群』にステロイドを投与し、成人期の痙攣準備性亢進への治療効果も検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ当初の計画通り概ね順調に研究は進んでいるが、いまだ解明すべき疑問点が残るため更なる研究が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は成熟期での痙攣準備性亢進のメカニズムを解明すべく、『IL-1βを投与しpHSを反復誘発させた群』を用いた脳の病理学的検討を行っている。更には『IL-1βを投与しpHSを反復誘発させた群』にステロイドを投与し、成人期の痙攣準備性亢進への治療効果も検討を行っている。今回は成熟期での痙攣準備性をカイニン酸投与により評価したが、てんかん原性の評価のためには長時間脳波記録による自然発症痙攣について検討をすることが望ましい。更には熱性痙攣が小児の認知機能に与える影響についても未解明である。本研究課題終了後は、本研究で開発したモデルを用いて、長時間脳波記録による自然発症発作を評価し、行動検査を用いた高次機能障害についての検討が必要となる。
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Research Products
(3 results)