Research Abstract |
平成22年度は,出生コホート内の小児290名の,出生時から12歳まで毎年測定されたbody mass index(BMI)の記録を元に,各小児のadiposity reboundの時期を求め,それを2歳以下,3歳以下,4歳以下,5歳以下,6歳以下および7歳以上の6群に分け,12歳時のBMI,血清総コレステロール(TC),IDL-C,HDL-C,中性脂肪(TG),アポ蛋白B,動脈硬化指数,収縮期血圧,拡張期血圧との関係を検討した。その結果,adiposity reboundが早く始まるほど,12歳時のBMI, TC, LDL-C, TG, 動脈硬化指数,収縮期・拡張期血圧が高く,HDL-Cが低いという傾向が認められた(trend p value<0.05)。すなわち,adiposity reboundに反映される幼児期の体組成の変化が,12歳時のインスリン抵抗性を基盤とする動脈硬化形成性の指標と関連していることが明らかとなった。Adiposity reboundが早く始まるということは,体組成構成のうちインスリン感受性の少ない脂肪組織が,インスリン感受性のある筋肉に比べてより早期に増加するために,この時期にインスリン抵抗性のプログラミングを起こり,メタボリックシンドロームの基盤が形成されることが推察された。すなわち,幼児期にadiposity reboundが早く起こらないようにすることが,将来の肥満やメタポリックシンドロームを予防するうえで重要であることが示された。これちの研究成果は,国内外の学会で発表した。次年度は,adiposity reboundを早める食事や運動などの生活習慣が何であるについて,母乳と人工乳の初期栄養のことも含め,生活習慣調査を実施することを計画している。
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