2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591137
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
児玉 浩子 帝京大学, 医学部, 教授 (00093386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 千恵 帝京大学, 医学部, リサーチフェロー (10393000)
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Keywords | Wilson病 / 肝臓 / 銅 / LECラット / 予防 |
Research Abstract |
Wilson病は先天性銅代謝異常症で、肝臓、脳、腎臓などに銅が蓄積し、様々な障害を生じる。治療としてキレート薬や亜鉛が有効で、長期生存例も多くなっているが、本症患者では治療が有効になされているにも関わらず、肝硬変の進行や肝細胞がん発症の報告が相次いでいる。本研究では、Wilson病モデルラットであるLECラットを用いて、銅による活性酸素産生、その消化機構であるレドックス制御機構の観点からWilson病と肝障害及び肝細胞がん発症の関連を解析し、予防および治療方法を開発することが目的である。本年度は、22年度に引き続きWilson病での肝障害・肝がんを予防する抗酸化物質を選択するために、LECラットを用いて、肝蔵内銅濃度、酸化ストレスマーカー、抗酸化物質、ROS消化酵素等を定量測定することにより、酸化物質増加・レドックス制御機能破綻と肝障害進行との関連性を検討した。LECラットの肝臓内銅濃度は、LEAラット(コントロール)/に比べ生後早い時期から有意に高い値を示した。肝臓中の活性酸素種消化酵素であるCu/Zn SODタンパク量は、LEAラットに比べLECラットにおいて低かった。活性酸素により起こる遺伝子DNA障害の生成物である8-OHdG量は肝組織内ではLECラットの方がLEAラットより高い傾向が認められた。これらの結果は、レドックス制御が不十分のため肝障害が起こりやすい環境となっていることを示唆している。銅の蓄積と肝障害の関連については更なる検討が必要であるが、レドックス制御を早期の内に正常化することにより、後に起こる肝障害を予防することの可能性が期待される。22,23年度の結果を踏まえ、今後、有効と期待される抗酸化物質を選択し、LECラットへの投与を試み効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LECラットの血清・組織中の抗酸化物質や過酸化脂質の測定結果には個体差が認められたので、ラットの検体数を増やす必要があったが、交配が順調に進まないことなどにより充分な匹数を確保するのが難しい時期があり、当初の計画よりやや遅れている。しかし、徐々にではあるが、実験に供したラットの検体回収も進んでおり、研究は確実に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
22,23年度の研究結果に基づき、Wilson病での肝障害・肝がん発症に対する予防効果が期待される抗酸化物質を選択し、LECラットへの投与を試みる。そして、投与量、長期投与による効果および副作用の有無を検証する。個体差の問題を解消すべく、LECラットの十分な検体数を確保できるように配慮する。24年度は本研究の最終年度なので、サンプリング後保存してある検体の分析、データ解析を推進し、研究結果の総括を行う。
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