2011 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞技術によるレット症候群モデル細胞の樹立と治療薬の探索
Project/Area Number |
22591144
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
高橋 知之 久留米大学, 医学部, 准教授 (20332687)
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Keywords | レット症候群(RTT) / MeCP2 / iPS細胞 / 疾患モデル / 再生医学 |
Research Abstract |
レット症候群(RTT)は主に女児で進行性精神発達遅滞を呈する疾患で、X染色体上のMeCP2遺伝子(MeCP2)の変異が主因である。しかし、MeCP2欠損によるRTT病態の発症メカニズムは不明であり、発病メカニズムの解明、治療法の確立が切望されている。本研究はMeCP2欠損マウス由来のRTTモデルiPS細胞を樹立し、その神経細胞分化能、更に分化誘導した神経細胞の機能評価を行うことで、MeCP2欠損によるRTT発症メカニズムを解明し、治療薬探索や再生医療、遺伝子治療技術を応用した治療法の開発を目的としている。 前年度に引き続きRTTの病態発症メカニズムを解析するためにRTTモデル動物由来のiPS細胞の樹立を行なった。その結果、安定した未分化状態や多分化能を示すRTTモデルiPS細胞株の選別が可能となった。前年度までに、ESならびにiPS細胞の安定した神経分化誘導法の確立が出来ているため、今後は、RTTモデルiPS細胞と正常(コントロール)動物由来のiPS細胞の神経分化能や細胞機能の比較を行う予定である。 また、RTTモデルES細胞の研究で、アストロサイトの分化が亢進することから、RTTモデル動物の初代培養アストロサイトの生理学的な解析を行った結果、RTTモデル動物由来のアストロサイトはMeCP2欠損により、グルタミン酸トランスポーターの発現やグルタミン合成酵素の発現に異常が認められ、グルタミン酸の代謝が亢進することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来、RTTモデルiPS細胞の樹立は前年度までに完了し、本年度は詳細な神経分化能の評価を行う予定であった。しかし、研究を進める過程で、個々のiPS細胞株の品質が分化能に影響する可能性が示唆された。その為、高品質なiPS細胞株を得る必要性に迫られ、予定以上にRTTモデルiPS細胞樹立に時間を有した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、既に樹立されたRTTモデルiPS細胞における神経分化能の評価を行うことでiPS細胞がRTTのモデル細胞としての有用性を評価する。その過程で、高品質な(安定した未分化維持、多分化能を保持する)iPS細胞株の樹立を継続する。
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