2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞治療のための臍帯血由来間葉系幹細胞バンク化を目指した基礎的研究
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22591150
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
峯岸 正好 東北大学, 病院, 准教授 (20211592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小沼 正栄 東北大学, 病院, 医員 (70436111)
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Keywords | 臍帯血 / 間葉系幹細胞 / 細胞治療 / 細胞バンク / 体外増幅 |
Research Abstract |
平成23年度においても特定非営利活動法人宮城さい帯血バンクより移植適応外となった臍帯血の譲渡を受けた。本年度の受入数は15件であり、採取から培養開始までの時間は5.5-9.0時間であった。Complete mediumとしてはこれまでどおりMesenCult^<TM> Basal MediumにMesenchymal Stem Cell Stimulatory Supplementsを加えたものを使用し、これにMSCグレードの胎児ウシ血清を20%にて添加した。また初期培養においては、単球のdishへの付着を抑制するためにdexamethasone(10^<-7>M)を添加した。これら15件の臍帯血のうち、MSCの増殖が確認できたものは3件であったが、このうちの1件は2回目の継代後まもなく増殖不良となった。あとの2件については継代毎に一部を凍結保存し、一部を1x10^5/40cm^2 dishとして培養を継続した。2件の臍帯血から得られたMSCは5株であり、フローサイトメトリー解析によるそれらの表現型はいずれもCD29^+CD44^+CD73^+CD105^+CD166^+ CD34^-CD45^-CD62L^-であった。増殖特性は5株のうちの2株(4189-3,4189-4)が>passage 6で>25 cumulative population doubling level(PDL)と増殖が良好であったのに対し、残りの3株(4093,4189-1,4189-2)は>passage 4で<15 PDLと前2株に比較して増殖は弱かった。また継代毎のCFU-F assay(1,000cells/plateで評価)においては、4189-3と4189-4の2株はpassage 3までは>30 colonies(56 colonies,37 colonies)とclonological abilityは高かったが、後者の3株では、>passage 3では2 colonies以下とcolony foming abilityは低かった。以上、cmmulative population doubling levelとcolony forming abilityとは一致する結果を得た。Passage 4までの累積細胞数は4189-3で1.5x1010,4189-4では1.6x10^<10>,4189-1では2.8x10^8,4189-2では1.6x10^8と治療量としては十分量の細胞数に到達したが、4093のみは5.2x10^6と治療量としての十分な細胞数には到達しなかった。本年度の研究において得られたMSC株数は5株と少なかったが、そのなかにおいても増殖特性はまちまちであり、いずれが凍結保存に適するMSCかを初期の段階で判断することは困難であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臍帯血採取から譲渡・分離培養開始までの時間が5時間以上と空いてしまい、MSC株の分離率が低かった。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度までに得られたMSC株5株は液体窒素中に凍結保存されている。これら5株を解凍した上で再度培養をおこない、初代培養株と同等の増殖特性を有するかどうかを検証する。また同時に凍結融解をおこなうことで染色体異常が発生していないかどうかを確認する。さらにこれらのMSC細胞が脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞への分化能を有しているかどうか、また同種抗原応答性T細胞活性抑制効果、造血幹細胞支持能についても機能解析をおこない、細胞バンクに適した性状を有するかについて検証する。
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