2011 Fiscal Year Annual Research Report
同種造血幹細胞移植後のWT1ペプチドワクチン療法の開発と抗腫瘍免疫動態の解析
Project/Area Number |
22591160
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋井 佳子 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60343258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 芳弘 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20273691)
宮下 恵実子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40528395)
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Keywords | 免疫療法 / 同種造血幹細胞移植 / 小児血液悪性腫瘍 |
Research Abstract |
[臨床試験中間報告] 「WT1ペプチドワクチン(以下ワクチン)を用いた難治性小児血液腫瘍患者に対する同種移植後免疫療法第II相試験」をIRBの承認のもと平成20年9月より開始した。現在までに9例が登録されワクチンの投与を開始した。投与開始前にWT1mRNAが正常値上限の1000コピー/μgRNAを超えていた4例ではワクチン投与開始後WT1mRNAが低下し、うち2例では接種後36か月、31か月寛解を維持している。またそのうちの1例では腫瘍細胞にAML/MTG8転座がみられそのコピー数は移植後も高値を示していたがワクチン投与から徐々に低下した。ワクチン開始前に1000コピー/μgRNA以下であった5例を含めると9例中7例が寛解を維持している(平均16か月、中央値19か月)。有害事象としては1例で肝GVHDの悪化がみられたが、免疫抑制剤中止時と重なっておりワクチンによる有害事象というよりは免疫抑制剤中止によるものと考えられた。また1例で皮膚の潰瘍がみられたが投与量の減量により改善した。 [WT1ペプチドワクチンによって生じる免疫動態] WT1特異的キラーT細胞の絶対数は全例で8週後から増加しいったん低下するも12週以降は正常人より高値となるが8週までより低値で維持される。そのフェノタイプはメモリーT細胞が増加していた。さらにワクチン開始後の骨髄中のWT1特異的キラーT細胞数も増加していた。これらのWT1特異的キラーT細胞は活性化マーカーであるCD107aが陽性であった。 [結論]WT1ペプチドワクチンを同種移植後に接種することで抗腫瘍効果をもつメモリーT細胞が出現し再発抑制効果がみられると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安全性、有効性の蓄積、検討、および免疫学的検討もできたが、登録症例数が予定登録数に達していない。ヘルパーT細胞への関与、サイトカインプロファイルについての検討ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
予定登録数15例のところ9例のみであるので登録症例数を増やすことが必要である。このため登録期間の延長を検討している。また登録症例数を増やすために日本小児白血病リンパ腫研究会などに移植後WT1ペプチドワクチン投与の有効性をアピールし、移植後治療として提案している。
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