2011 Fiscal Year Annual Research Report
MLL融合蛋白による腫瘍化過程の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
22591162
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
江口 真理子 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40420781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 峰斉 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50420782)
石井 榮一 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20176126)
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Keywords | MLL / ES細胞 / 造血細胞分化 / 白血病 |
Research Abstract |
MLL融合遺伝子が造血細胞の分化・増殖に与える影響についてマウスES細胞の系を用いて検討を行った。Chicken-β-actin (CAG)プロモーター下にMLL-AF4を発現する発現ベクターを作製し、マウスES細胞に導入し、恒常的にMLL-AF4を発現するES細胞株を樹立した。MLL-AF4の発現は未分化ES細胞の生存・増殖には影響を与えず、造血細胞への分化も可能であった。胚様体(Embryoid body, EB)を形成させ、分化開始後6-7日の細胞を用いて造血細胞コロニーアッセイを行うと、MLL-AF4融合遺伝子を発現するES細胞はコントロールと同程度の造血コロニー形成能を有していた。また自己複製能の程度を調べるため、リプレーティングアッセイを行ったが、MLL-AF4を発現する細胞に有意な自己複製能の亢進は認めなかった。このMLL-AF4を発現するES細胞が造血細胞へ分化する過程を詳細に検討した。MLL-AF4を高発現するマウスES細胞は、分化開始6、7日後に認められる造血幹細胞を含むヘマンジオブラストに相当するTie2+/c-kit+の細胞群がコントロールと比較して有意に減少しており、c-kitの発現が低いTie2+/c-kit-の細胞群が増加していた。発現アレイを用いた解析では、これらのTie2陽性細胞群は造血細胞への分化に必須の転写因子であるAML1やGATA2の発現が低下している一方、OB-Cadherin等の非造血細胞系の遺伝子群の発現が上昇しており、MLL-AF4の発現に伴い造血細胞より間葉系細胞への分化が誘導されていることが示された。しかしながら、これらの細胞を細胞外基質であるコラーゲンIなどでコートした培養プレート上で培養すると、コントロールの細胞より多くの造血細胞が産生されており、MLL-AF4は何らかの増殖活性を造血細胞に与えると考えられた。現在これらの表現型と白血病化との関連性に関して検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ES細胞ではML-AF4の発現は比較的弱く、MLL-AF4を発現するES細胞クローンの樹立と本実験の目的に適したES細胞クローンの選別、その表現系の解析に予想以上に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ES細胞の造血細胞への分化において、造血細胞への分化抑制と間葉系細胞への誘導というMLL-AF4の影響が明らかとなったので、in vivoでの腫瘍化の有無を検討するために、免疫不全マウスにMLL-AF4発現造血細胞、および二次的な遺伝子異常を導入したMLL-AF4発現細胞を移植することにより、白血病の発症モデルの作製を試みる。
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Research Products
(4 results)