2010 Fiscal Year Annual Research Report
ランゲルハンス細胞組織球症に対する骨免疫学的視点からの病態解明
Project/Area Number |
22591167
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
森本 哲 自治医科大学, 医学部, 教授 (30326227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 幸恵 自治医科大学, 医学部, 助教 (20382955)
早瀬 朋美 自治医科大学, 医学部, 助教 (50433587)
早川 貴裕 自治医科大学, 医学部, 研究員 (60458312)
翁 由紀子 自治医科大学, 医学部, 研究員 (30438650)
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Keywords | ランゲルハンス細胞組織球症 / 未熟樹状細胞 / 破骨細胞 / osteopontin / CD44 / integrin α V |
Research Abstract |
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は、未熟樹状細胞の性質を持つLCH細胞が異常に増殖し、組織破壊を起こす疾患である。病変は骨、皮膚、リンパ節、中枢神経など多岐にわたるが、溶骨性骨病変の頻度が最も高い。化学療法の進歩により予後は改善したが、肝・肺・造血器などの機能不全をきたし死亡する例が約5%、再燃する例が約50%、尿崩症などの不可逆的病変を残す例が約15%ある。よって、より有効な治療法の開発が望まれている。近年、骨免疫学の発展によって、LCHを含む炎症性骨疾患では、未熟樹状細胞が効率的に破骨細胞に分化し、組織傷害に重要な役割を果たすことがわかってきた。しかし破骨細胞への分化が促進される機序については明らかではない。そこで、破骨細胞の活性化に重要であること、LCH細胞に多量に発現していることが明らかになってきたosteopontin(OPN)に着目し研究を行った。今年度はまず健康成人を対象とし、末梢血から採取した単球をGM-CSF/IL-4で刺激し、未熟樹状細胞に分化させた。この未熟樹状細胞をLPS/IFNγで刺激し成熟樹状細胞に分化させ、培養上清中のOPN濃度を測定したところ300ng/mlであった。一方、未熟樹状細胞をRANKL/M-CSFで刺激し、破骨細胞に分化させると、培養上清中のOPN濃度は早期から上昇し4000ng/mlに達した。また単球、未熟樹状細胞、破骨細胞からRNAを抽出し、OPN、OPNの受容体であるCD44およびintegrin α VのmRNAを定量測定したところ、単球から未熟樹状細胞さらに破骨細胞へと分化が進むに従いその発現は有意に上昇した。以上より未熟樹状細胞から破骨細胞の分化にOPNが重要な役割を果たしている可能性が考えられた。今後は抗OPN抗体によって破骨細胞への分化が阻害されるかを検証する。また同様の培養実験を、LCH患者の検体でも行い、健常人と比較する。
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