2011 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージをターゲットとした慢性腎疾患(CKD)治療戦略
Project/Area Number |
22591177
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池住 洋平 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70361897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 俊明 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50419305)
唐澤 環 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (30447601)
河内 裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60242400)
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Keywords | 難治性腎炎 / ステロイド抵抗性ネフローゼ症群 / 活性化マクロファージ / M2 / 高脂血症 |
Research Abstract |
本研究の目的は腎炎の進展機序および治療抵抗性(難治化)機序を明らかにし、社会的に問題となっている慢性腎疾患(CKD)の制御法を確立することである。これまでの検討から全ての進行性腎疾患に見られるマクロファージの亜型(M2)浸潤に焦点をしぼり、以下の検討を行っている。 1.M2による組織障害(線維化)機序の検討 IgA腎症におけるM2の病期による出現頻度、局在およびこれらと組織障害との関連を解析し、小児IgA腎症と比較し、成人発症例では慢性病変(基質増生、線維化)が優位であり、高脂血症などの生活習慣病の合併が関与する可能性を見出している。 2.ネフローゼ症候群患者 ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患児の組織検討から、CD36(LDLスカベンジャー受容体)陽性のM2型マクロファージの浸潤がステロイド感受性ネフローゼ患児より有意に多いことを明らかにしている。上記IgA腎症例の検討と合わせ、腎疾患の慢性病変の形成、進展には高脂血症の病態とM2の関与が示唆され、現在その分子機構を明らかにすべく検討を行っている。 3.サイトカイン発現の網羅的解析 ヒト単球由来マクロファージを用いた検討から、LDLがCD36陽性M2マクロファージの活性化を促進すること、また線維化促進因子(TGFβなど)の発現を介して慢性化病変の形成に関与している可能性を見出している。現在その分子機序(シグナル伝達など)および制御法について引き続きin vitro実験系で解析を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト腎炎または巣状糸球体硬化症に相同的な動物モデルの覚醒が困難なため、腎生検組織標本およびヒトの末梢血単球を用いたin vitroの実験系での解析を余技なくされている。また、分子レベルでの病態解明に当たって、ターゲット分子の抽出に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの実験系の再検討(再現性の確認)および分子レベルで検討。特にM2活性化機序におけるmTORシグナルの関与について明らかにし、アメリカ腎臓学会での発表および欧文誌投稿を行う予定である。 動物実験系での検討を考慮しているが、ヒト腎炎もしくはネフローゼ症候群に相同なモデルの確立が現段階では困難と考えられ、主にヒト単球を用いたin vitroの実験系で検討を進めていく予定である。
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