2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児ウイルス関連脳症におけるチオレドキシン(レドックス制御)の役割
Project/Area Number |
22591179
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山下 信子 岡山大学, 病院, 助教 (40379798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 宏一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90207340)
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Keywords | インフルエンザ / チオレドキシン |
Research Abstract |
インフルエンザウイルス感染におけるチオレドキシン(Thioredoxin,TRX)の果たす役割をマウスモデルを用いて検討したので報告する。 【方法】C57BL6にインフルエンザウイルス(PR8)を致死量 経鼻感染させ、インフルエンザ感染モデルマウスとした。TRX投与群では、ウイルス感染(Day-1 p.i)から、Human recombinant TRX 40ugを腹腔内に隔日投与した。正常マウスにおいて、TRX非投与群と投与群で、生存曲線・Lung injury score・肺胞洗浄液(BAL)中の好中球数、血中酸化ストレスマーカーを比較した。 【結果】TRX非投与群では.全例がDay10 p.i.までに死亡したが、投与群では40%のマウスが生存した。TRX-mRNAの発現量が肺で最も多いことより、肺における違いを主に検討した。肺病理像では、Lung injury scoreが投与群で有意に低い、肺の好中球浸潤が少ないこと、炎症性サイトカインであるTKF-αとCXCL-1、酸化ストレスマーカーである8-0HdG(8-hydroxy-2'-deoxyguanosine)の発現が低下していることが確認された。 【結語】重症成人呼吸窮迫症候群ではTRXの臨床応用が既に検討されはじめているが、上記結果から、インフルエンザ肺炎でも効果があることが示唆された。今後、TBP-2(Thioredoxin binding protein-2)KOマウスにおける病態、ヘルペス脳炎などの重症脳炎モデルマウスでの病態を検討していく予定である。
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