2010 Fiscal Year Annual Research Report
心臓・四肢発生におけるHand遺伝子の組織特異的相補性
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22591192
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 潤 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00255506)
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Keywords | Hand遺伝子 / 四肢発生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウス心臓、四肢の発生におけるbHLH型転写因子Hand1、Hand2の組織特異性、遺伝的相補性を解析し、ヒト心臓及び四肢先天奇形の原因を明らかにすることである。研究代表者の先行研究(平成18年~19年度基盤研究(C)左右心室発生、領域化におけるHand遺伝子の役割)により、胎生期の右心室形成過程において、Hand1がHand2に対して遺伝的相補性をもつことが明らかにされている(投稿準備中)。今年度に得られた結果は、下記に述べる通りである。 1.Hand1の肢芽における時間的、空間的発現様式の解析 mRNAによるin situ hybridazation法(ISH)で行った。過去にHand1は胎芽にほとんど発現していないと報告されているが、今回の検討では胎生10.5日~11.5日の前肢の第1指に限局した発現を認め、追試により複数回同じ結果を得た。 2.Hand2^<Hand1/Hand1>マウスの肢芽の表現型解析 研究代表者らが樹立したHand2^<Hand1/+>(ヘテロ)マウス間の交配を行い、胎生12.5日のHand2^<Hand1/Hand1>(ホモ)マウス胎仔を母体から摘出し、胎芽の表現型を調べた。ホモマウスでは野生型マウスに比し、前肢第1指の形成は同様に認められるが、第2-5指は低形成で前肢後側の発達が障害されているように観察された。四肢の部位特異的なマーカー遺伝子の発現が、ホモマウスでどのように変化しているか、それらをプローブとしたISHを行った。野生型で第2-5指に認められるHand2の発現は、ホモマウスでは認められず、また、野生型で第1指に限局したHand1の発現は、ホモマウスでは第2-5指に認められ、胎芽においてHand2の遺伝子レベルでのHand1への完全置換が起きていることが明らかにされた。野生型で前肢の第2-5指に特異的に認められるHoxdl2の発現、前肢の前内側に特異的に認められるTbx3の発現はホモマウスでは消失または前肢全体に非特異的に認められた。
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