2011 Fiscal Year Annual Research Report
心臓・四肢発生におけるHand遺伝子の組織特異的相補性
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22591192
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 潤 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00255506)
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Keywords | 四肺発生 / 心臓発生 / Hand1遺伝子 / Hand2遺伝子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウス心臓、四肢の発生におけるbHLH型転写因子Hand1、Hand2の組織特異性、遺伝的相補性を解析し、ヒト心臓及び四肢先天奇形の原因を明らかにすることである。研究代表者の昨年度までの研究により、胎生期の右心室形成過程において、Hand1がHand2に対して遺伝的相補性をもつことが明らかにされた。当該年度に、以下のHand2^<Hand1/Hand1>マウスの肢芽の表現型解析をすすめた。すなわち、研究代表者が樹立したHand2^<Hand1/+>(ヘテロ)マウス間の交配を行い、胎生10.5~125日のHand2^<Hand1/Hand1>(ホモ)マウス肢芽の表現型を解析した。胎生105日のホモマウスでは、前肢形成は野生型マウスとほぼ同じであった。胎生11.5日、12.5日のホモマウスでは野生型マウスに比し、前肢第2-5指が低形成で、前肢後側の発達が障害されていると思われた。後肢の形成に関しては、胎生10.5~12.5日のホモマウスで、野生型マウスと明らかな形態の差を認めなかった。次に四肢の部位特異的なマーカー遺伝子の発現をRNA in situ hybridizationで解析した。野生型で第2-5指に認められるHand2の発現は、ホモマウスでは認められず、また、野生型で第1指に限局したHand1の発現は、ホモマウスではHand2発現領域である第2-5指に認められ、かつ当該部位のHnad2発現はなく、胎芽においてHand2の遺伝子レベルでのHand1への完全置換が安定して起きていることが示された。野生型で前肢後側に発現するSox9、Hoxd12、前肢の前内側に発現するTbx3は、ホモマウスにおいては、発現の低下を認めた。消失または前肢全体に非特異的に認められた。これは胎生期の前肢芽において、Hand2領域にHand1を発現させた場合、Hand1はHand2の機能を代償できず、前肢後側の発達にはHand2が必須であるであることを示唆する。 また、研究代表者が樹立したHand2^<loxP/loxP>(Hand2コンディショナルノックアウト)マウスと肢芽に限局してDNA組み換え酵素Creを発現するprx-Cre^<+/->マウスを交配させ、肢芽特異的Hand2ノックアウトマウスを作製、前肢芽形成不全が観察され、Hand2が前肢発達に必要であることがさらに示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Hand2肢芽特異的ノックアウト(Hand2^<loxP/->;prx-Cre^<+/->)マウス胎仔を得るまでに3段階の交配を経るため、目的の胎仔を得る確率が低く、解析胎仔数が少ない。このため肢芽の表現型異常についての詳細な検討が不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
Hand2コンディショナルノックアウトマウスを、Hand2^<+/->マウスとprx-Cre^<+/>マウスを交配させて得られるHand^<2+/->;prx-Cre^<+/->マウスと交配させ、目的とするHand2肢芽特異的ノックアウトマウスを得る手順を、まずHand2^<loxP/->マウスとHand2^<+/->マウスを交配し、得られたHand2^<loxP>/-マウスとprx-Cre^<+/->マウスを交配させてHand2肢芽特異的ノックアウトマウスを得る2段階の交配手順に変更することにより、解析胎仔数を増加させ、研究効率を改善する。
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