2012 Fiscal Year Annual Research Report
周生期ストレスと生活習慣病発症機序に関する研究-脳と脂肪組織のクロストーク解析-
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22591203
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 准教授 (30274294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 健一 香川大学, 医学部, 助教 (50403720)
鈴木 辰吾 香川大学, 医学部, 助教 (50451430)
横山 俊史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10380156)
日下 隆 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
竹内 義喜 香川大学, 医学部, 教授 (20116619)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 周生期ストレス / 脳 / 脂肪組織 / エネルギー代謝 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
1. 母仔分離ストレス曝露モデル動物の脳の変化:AMPA受容体の変化について 母仔分離ストレス曝露モデル動物における、AMPA受容体サブユニットの一つGluR1の発現動態を解析した。母仔分離されたラットの海馬におけるGluR1受容体発現/リン酸化をWestern blotにて脳発達期から成熟後まで解析した結果、GluR1自体の発現に変化は認められなかったが、生後10日でGluR1の過剰リン酸化が認められた。同様に、GluR1のリン酸化を制御するCaMKIIの過剰リン酸化も生後10日で認めた。 2. 脂肪組織におけるエネルギー代謝関連物質のPCR解析 褐色脂肪(BF)と白色脂肪(WF)におけるプロヒビチン(PHB) 、ミトコンドリア脱共役タンパク質UCP-1、アドレナリンβ3受容体(AD-β3R)の発現量を解析した。BFにおいては、AD-β3Rの発現量が低下していた、一方、WFにおいては、PHB発現量は増加していたが、AD-β3Rのそれは低下していた。UCP-1はいずれの脂肪組織も有意な差を認めなかった。 生後早期は、神経可塑性に富む時期である。神経発達に影響をもたらすAMPA受容体・神経栄養因子などの重要な発達・成長因子の発現量の変化が、脳発達障害の一因であることが推測できる。適切なGluR1リン酸化が神経回路網形成と末梢脂肪組織の相互関係構築にに必須である事を鑑みると、一過性であったとしても過剰リン酸化状態は恒久的に回路網形成バランスを乱し、成熟後の脂肪細胞のエネルギー代謝に影響を及ぼすことが懸念される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象領域として、脳と脂肪細胞に焦点を当てている。脳に関しては、順調に解析が進行しているが、脂肪細胞に含まれるタンパク質の抽出に時間を要したが、実験テクニックが向上したため効率よく解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究遂行開始から、中枢神経系の解析と末梢脂肪組織の解析を順序立てて行ってきた。実験テクニックが安定しているため、確実なデータを得ている。 今後は、これまでに得たデーターを綜合的に解釈し周生期ストレスと将来の生活習慣病発症基盤の脆弱性について総括を行っていきたい。さらに、今後の研究の方向性を決定する重要な材料としたい。
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Research Products
(7 results)