2011 Fiscal Year Annual Research Report
出生時の血清浸透圧変化からみた動脈管閉鎖の機序解明
Project/Area Number |
22591205
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
青木 理加 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (50542437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 詩子 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70404994)
南沢 享 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (40257332)
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Keywords | 動脈管 / 血清浸透圧 |
Research Abstract |
本研究は出生時の血清浸透圧変化が動脈管閉鎖にどのように影響するのかを明らかにし、出生後の血清浸透圧の管理が未熟児動脈管開存症の発症予防および治療において意義があるか検討することを目的とする。 低浸透圧刺激に対する動脈管の収縮の機序として既に示したTRPM3チャネルの関与の他に、低浸透圧に関連するTRPV4チャネル、Ca輸送体Na/Ca Exchangerの関与を検討した結果、細胞内Ca濃度の検討あるいは血管張力実験により、それらの関与が少なく、低浸透圧刺激ではTRPM3チャネルが主として作用する可能性が示唆された。 さらに、ラット新生仔の腹腔内注射を用いた高浸透圧モデルでは、高濃度食塩水負荷、アミノ酸負荷のいずれを用いた高浸透圧刺激においても動脈管収縮が抑制されることが明らかとなった。 ヒトにおける生後血清浸透圧の検討では、ヒトにおいても血清浸透圧が出生後早期に有意に低下することが明らかとなり、さらにその低下の程度は在胎週数に依存し、超早期産児ではもともと低下がわずかであり、より成熟した児では低下が大きいことが特徴であった。また興味深いことに未熟児動脈管開存症発症群では、非発症群に比較して、浸透圧の回復が早期に起きていることから、出生後早期の血清低浸透圧が動脈管閉鎖において重要な役割を果たしている可能性が臨床においても示唆された。今後、さらに浸透圧の低下を左右する周産期因子の検討を行い、有意なものが明らかとなれば、それらをもとに輸液管理、治療への介入を積極的に行うことで動脈管開存症の発症予防・重症化予防の管理に役立つ可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低浸透圧刺激が、動脈管収縮を促進する機序において、TRPM3以外に関与し得る機序について、当初の予定であった、TRPV4、Ca輸送体Ca/Na Exchangerについて、検討し得た。また、ヒトにおける生後血清浸透圧の変化について、データが集積しつつあり、生後の血清浸透圧低下が、ラットに限らずヒトにおいても起きていることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトの浸透圧データに関する検討は申請当初の予定に無いものであったが、ヒトの未熟児動脈管開存症の発症との関連を知るために欠かせないものであり、研究計画を変更し、検討を開始したものである。その中で、在胎週数による違い、未熟児動脈管開存症発症群と非発症群における血清浸透圧の推移の違いについて明らかとなったため、血清浸透圧の違いを来し得る臨床的背景について、在胎週数以外の周産期因子について検討をあわせて行うこととした。なお、研究計画の変更に伴い、低浸透圧の細胞増殖能、遊走能への関与に関する検討は、本年度行っていないが、最終年度に検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)