2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖修飾した臍帯血幹細胞移植による周生期脳障害の克服
Project/Area Number |
22591213
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
中西 圭子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 主任研究員 (50280813)
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Keywords | 臍帯血幹細胞 / 周生期脳障害 / 糖鎖 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
自己複製能・多分化能を有する幹細胞を用いた再生医療は様々な医療分野で新しい治療法として期待されている。本研究では、新生児において最も安全かつ簡便に採取できる幹細胞源である臍帯血幹細胞を用いて、周生期脳障害に対する効率的な再生医療法を開発するとともに、その分子基盤を明らかにすることを目的としている。これまで、ヒト臍帯血幹細胞や間葉系幹細胞を動物モデルに用いた報告はいくつかあるが、その効果は実験条件により様々である。本研究では、増殖させたラット臍帯血幹細胞をラット新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)モデルに移植することにより、臍帯血幹細胞の治療効果やその分子基盤について検討することをめざしている。 ラット胎仔より臍帯血を採取し、有核細胞層を分離し、4種のサイトカイン存在下で培養し増殖させた。増殖した細胞は比較的均一で、約70%が幹細胞マーカーであるCD133が陽性であった。同様の方法でGFPラット胎仔臍帯血より採取・増殖させた細胞をHIEモデルラットに腹腔内投与し、HIEに対する治療効果を検討した。臍帯血幹細胞を投与したラットでは梗塞巣の面積が小さい傾向が観察されたが、個体によりばらつきが大きかった。また、syrinder test,Rotarodなどの行動実験を行ったところ、幹細胞投与群では改善傾向が観察された。一方、GFP免疫組織染色を行ったところ、腹腔内投与したGFP陽性細胞は、モデルラット脳内の梗塞巣近傍に侵入していることが確認できた。以上のことから、さらに検討する必要があるものの、臍帯血幹細胞の腹腔内投与が、HIEに対する治療法として有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HIEモデルラットを作製するための低酸素装置が故障し、約3ヶ月間実験をおこなうことができなかった。また、HIEモデル作製は気温により大きく影響を受けるため、夏場と冬場で実験条件が変動し、適当な条件を設定するのに時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、個体によるばらつきが何に起因するのか、脳内に侵入した幹細胞は何に分化してどのような機能をしているのか、等について、さらに解析を進める予定である。
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