2011 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫、乾癬、円形脱毛症に対するIL-27の治療的有効性についての基礎的検討
Project/Area Number |
22591220
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永井 宏 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80335447)
|
Keywords | IL-27 / 悪性黒色腫 / 乾癬 |
Research Abstract |
(1)IL-27遺伝子導入マウスB16メラノーマ細胞を同系マウスに接種し、抗CD4抗体を局所投与すると、腫瘍を拒絶するマウスが確認され、その多くは白斑様体毛変化を示した。この抗CD4抗体局所投与による抗腫瘍効果増強のメカニズムを調べるため、腫瘍組織のサイトカイン・ケモカイン発現や組織に浸潤している細胞群を、リアルタイムPCRやフローサイトメトリーで解析したところ、抗CD4抗体投与群において種々の炎症性ケモカインが増加し、多数のCD8+細胞やNK細胞が浸潤していることを確認した。またこれらのエフェクター細胞のみならず、免疫抑制性細胞群の浸潤も伴っていることを確認した。現在その細胞群の機能について解析するとともに、その細胞群の浸潤制御によって治療的有効性が増強しうるのかを検討中である。 (2)当初予定していたimiquimodを利用した乾癬モデルの実験では、IL-27による治療的有効性を判断するには難しいと考え、マウスIL-23組み換え蛋白を用いた別の乾癬モデルの実験を行うこととした。IL-23誘導性乾癬様皮膚炎モデルの既報告の論文に従い、マウス皮膚にIL-23組み換え蛋白を注射したところ、炎症を伴う表皮肥厚を組織学的に確認できた。さらに局所のサイトカイン発現をリアルタイムPCRで解析するとIL-17とIL-22の有意な発現を認めた。現在、このモデルを用いて、IL-27の及ぼす影響を解析中である。なお、IL-27が乾癬の発症機序に与える影響を調べる目的で、ヒト表皮ケラチノサイトを用いたin vitroの実験も行った。その結果、ヒト表皮ケラチノサイトにおいて、IL-7とIL-27がTNF-α関連性ケモカインの産生誘導に対して相反する作用を有していることを見出した。興味深い所見と考え、結果をまとめて英文誌に投稿し、受理された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
悪性黒色腫モデルでは、当初の予定よりもやや遅れているが順調に進展していると考えている。乾癬モデルにおいては、当初予定していたimiquimodによる皮膚炎モデルが、IL-27の有用性を判断するのに難しいモデルと判断し、別のモデルに切り替えたため遅れてしまった。新しいモデルを導入後は、順調に実験を行っている。しかし、その影響のため、円形脱毛症のモデルについての検討はできていない。そのため、区分(3)と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の(1)悪性黒色腫モデル(2)乾癬モデルについて、次年度中にまとめることを目標とする。これらの結果については、学会発表や英語論文作成という形で成果発表していく。円形脱毛症モデルについても進めていきたいと考えているが、当実験施設の要因もあり、(1)(2)の実験がある程度まとまった後に、開始したいと考えている。
|
Research Products
(2 results)