2010 Fiscal Year Annual Research Report
非生毛部に生じた悪性黒色腫に対する表皮基底面の走査型電子顕微鏡学的観察
Project/Area Number |
22591222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉田 雄一 鳥取大学, 医学部, 准教授 (70335975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 七子 鳥取大学, 医学部, 講師 (10304213)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 癌 / 悪性黒色腫 / ダーモスコピー |
Research Abstract |
非生毛部(足底)に生じた黒色病変(色素細胞母斑・悪性黒色腫)についてダーモスコープでその特徴を観察した。さらに得られた余剰組織を固定した後、真皮を基底面から剥離し、走査型顕微鏡を用いて表皮基底面の詳細な観察を行い、色素細胞母斑と早期悪性黒色腫の腫瘍細胞の分布について検討を行った。 ダーモスコピー所見として色素細胞母斑では典型的なparallel furrow pattern、悪性黒色腫ではparallel ridge patternを呈していた。走査型電子顕微鏡を用いた観察では、色素細胞母斑では表皮突起の表面に母斑細胞と思われる平滑な母斑細胞が敷石状に均一に分布し、一部では集簇している像がみられた。一方、悪性黒色腫では意外にも表皮突起の表面に露出する腫瘍細胞は少なく、基底細胞間のわずかな裂隙から突出する像がみられた。この両者の違いが、皮溝と皮丘の表皮突起の性質・構造による違いによって生じたものかどうかについてさらに症例数を増やして検討する必要がある。 掌蹠にみられる黒色病変の診断においてダーモスコープを用いた観察が有用であり、良性ではparallel furrow pattern(皮溝平行パターン)、悪性ではparallel ridge pattern(皮丘平行パターン)を呈することが知られているが、なぜこのような特徴的な所見を呈するかはよく分かっていない。今回われわれの行った研究により、良性と悪性では表皮突起上の細胞の分布に違いがあることが明らかとなった。早期悪性黒色腫では表皮・真皮境界部に分布する細胞は少なく、皮溝と皮丘の基底細胞に何らかの性質の違いがある可能性が考えられる。 今後さらに研究をすすめ、進行期悪性黒色腫においても早期病変からどのような様式で進展していくのかを確認する必要がある。悪性黒色腫の腫瘍細胞の進展様式を明らかにすることができれば、悪性黒色腫の発生原因や治療に対する貢献が期待できると考えられる。
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