2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591228
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山下 利春 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50167706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀尾 嘉幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30181530)
肥田 時征 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90464487)
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Keywords | 悪性黒色腫(メラノーマ) / SIRT1 / B16F1メラノーマ細胞 / 細胞移動 / 転移 |
Research Abstract |
本研究は、ヒストンおよび転写因子の脱アセチル化酵素SIRT1が、メラノーマの細胞移動に関与するメカニズムを明らかにし、SIRT1阻害薬がメラノーマの治療に応用できるかどうかを検討するものである。細胞移動には低分子量GTP結合タンパク質Rac1の活性化(GTP結合Rac1)が必要とされている。活性型Rac(RacV12)と非活性型Rac(RacN17)による細胞移動や細胞形態への影響を、SIRT1阻害薬やSIRT1-siRNAを用いて検討中である。細胞膜直下でのPIP3の増加を抑制すると細胞移動は起きなくなるが、SIRT1阻害によりPIP3の上昇が抑制される可能性を見出した。SIRT1と結合する新しい細胞蛋白質を同定する目的で、脳ホモジネートより新しいSIRT1結合蛋白質を分離し解析中である。レンチウイルスベクターを用いてSIRT1-siRNAを恒常的に発現するB16F1細胞を作製し、in vitroおよびin vivoで細胞移動能と転移能を検討した。in vitroでは、スクラッチアッセイとマトリゲルアッセイにより細胞移動への影響を検討し、SIRT1が細胞移動を促進する事を見出した。in vivoでは、C57BL6マウスに移植したB16F1メラノーマの腹腔内浸潤とリンパ節転移がSIRT1発現抑制により抑制される結果を得た。SIRT1阻害薬によるメラノーマのリンパ行性転移と血行転移の抑制についてさらに検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rac1の活性化(GTP結合Rac1)、PIP3の関与の検討、SIRT1と結合する細胞蛋白質同定の試み、細胞移動能と転移能の検討を行い、研究の進行がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞移動には低分子量GTP結合タンパク質Rac1の活性化(GTP結合Rac1)が必要である。活性型Rac(RacV12)と非活性型Rac(RacN17)を用いて、SIRT1との関係を解析する。細胞膜直下でのPIP3の増加を抑制すると細胞移動は起きなくなるが、SIRT1阻害によりPIP3の上昇が抑制される可能性を検討する。SIRT1と結合する新しい細胞蛋白質を同定する。B16メラノーマ細胞を用いて、SIRT1の細胞移動能と転移能に対する効果を検討する。SIRT1発現が、メラノーマのリンパ行性転移と血行転移のいずれに関係するかについてさらに検討する。
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