2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚自然免疫機構からみた掌蹠膿疱症の発症機序に関する研究
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22591235
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
村上 正基 旭川医科大学, 医学部, 助教 (20278302)
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Keywords | 掌蹠膿疱症 / 皮膚自然免疫学 / 抗菌ペプチド / 病理学 / 免疫学 |
Research Abstract |
掌蹠膿疱症の病態を検討するうえで、表皮内汗管周囲に集簇するIL-17陽性細胞の存在が重要となったため、局所組織中および血清中のIL-17関連サイトカインプロファイルについての検討を行った。48人の掌蹠膿疱症患者及び20例の健常人ボランティアの血清を採取し、ELISAにてTNF-alpha、IL-23、IL-17、IL-22,IL-8、IFN-gammaの計測を行った。これと並行して患者手掌病変部組織および健常人手掌部組織各5例を採取し、関連mRNAの発現様式をPCR-arrayにて計測した。検討の結果、膿疱形成に最も関わるとされるIL-8の発現は、病変部組織中では有意に増加しているものの、血清中発現量について両者間に有意な差は認められず、このIL-8の発現は極めて病変部局所でのものであることが証明された。さらに、患者血清中で、TNF-alpha、IL-17、IL-22、IFN-gammaの有意な高値が認められたものの、IL-23は低値を示していたことから、いわゆるTh17細胞由来のIL-17ではない、IL-17(例:IL-17c, Nat Immunol 2011)の関与が強く示唆された(Murakami M et al, Exp Dermatology 2011)。昨年までの検討で、自然免疫系としてTLR、抗菌ペプチドcathelicidinの関与が重要な役割を果たすことが判明しているが、さらに表皮内汗管および周囲角化細胞におけるTLR、cathelicidin、IL-17(IL-17c?)の相互作用とダイナミクスについての検討、さらにTLR発現を誘導するagonistの同定が本疾患の発症メカニズムの解明に重要であることが明らかとなってきた。 疱
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然免疫機構のうち、抗菌ペプチドおよびToll like receptorが本疾患の病態に関与することが明らかとなり、さらにIL-17関連サイトカインの関与を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
TLRの発現異常、抗菌ペプチドの発現パターン異常が認められることは、掌蹠膿疱症の病態に自然免疫異常が関与していることを示す。しかしながら、その直接的原因を突き止めることと、対照的にとはいえ発現異常を改善する方策を検討しないことには、将来的な治療応用への展開を期待することができない。Translational researchとして始めた研究であるが、発現異常のメカニズムに迫るbasic researchを行っていくことが、最終的に臨床応用への近道であると考える。
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