2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガドリニウムによる皮膚線維化・皮膚石灰化モデルマウスの作製
Project/Area Number |
22591237
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石川 治 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90168188)
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Keywords | ガドリニウム / 皮膚線維化 / 皮膚石灰化 / 腎性全身性線維症 |
Research Abstract |
全身諸臓器に線維化・石灰化をきたす腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis : NSF)は、ガドリニウム造影剤を透析患者に投与することにより生じることが知られている。我々はこれまでにヒト皮下脂肪組織由来間葉系幹細胞、ヒト皮膚真皮由来線維芽細胞を用いた検討を行い、ガドリニウムによる線維化病変および石灰化病変形成機序を明らかにしてきた。本研究は、これまでにin vitroで得た知見を元に、ガドリニウムを用いた線維化疾患モデルマウス、石灰化疾患モデルマウスを作製し、その発症メカニズムを詳細に検討することを目的としている。我々はマウスの皮下に皮膚線維化、石灰化を誘導するために、ガドリニウムをB6マウスの皮下に繰り返し注入し、4週間観察したが線維化、石灰化は得られなかった。また、皮膚石灰化病変の形成にはGdとリンが必要であることから、より石灰化を誘導する目的でリンの局所注射(皮下注射)を追加したが皮膚線維化、石灰化は得られなかった。また、マウスより誘導した間葉系幹細胞を局所注射し、さらにガドリニウムとリンで繰り返し刺激を行ったが皮膚線維化、石灰化は得られなかった。これは、Gdが体内で代謝を受け、十分な濃度を維持することができないためと考えられる。現在は、生体吸収性ゼラチンハイドロゲルを用いたガドリニウムの徐放化DDSシステムを用いて、石灰化を試みている。また、ガドリニウムによるヒト皮下脂肪組織由来間葉系幹細胞の石灰化に関するin vitroの実験を行い、ガドリニウムによる石灰化において、ある分子がその病変形成に関与することを見出した。今後、新たに見出した知見をもとに、この分子が石灰化に与える影響やメカニズムについて研究を行う。本研究で得られる知見は、全身性強皮症、ケロイドなどの線維化疾患、および皮膚石灰化の発症メカニズムの解明と治療法の開発に大きく貢献できるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、平成23年度内にガドリニウムを用いた皮層線維化モデルマウス、皮層石灰化モデルマウスの確立を行う予定であったが未だ確立に至っていないため。しかし、ガドリニウムによるヒト皮下脂肪組織由来間葉系幹細胞の石灰化に関するin vitroの実験を行い、ガドリニウムによる石灰化において、ある分子がその病変形成に関与することを新たに見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はマウスの皮下にGdの局所注射を繰り返し試みたが、皮膚線維化、石灰化を誘導させることはできなかった。これは、Gdが体内で代謝を受け、十分な濃度を維持することができないためと考えられる。今後は、この問題を克服するために、生体吸収性ゼラチンハイドロゲルを用いたGdの徐放化によるDDSを用いる。我々はこの徐放化DDSを用いて、マウスの皮下に注入した間葉系幹細胞周囲にGdの局所徐放化を行い、皮膚線維化、石灰化モデルマウスの作製を試みる。
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