2011 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球・好塩基球を標的とした慢性そう痒性アレルギー疾患治療と痒みの制御の研究
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22591238
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 貴浩 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30235361)
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Keywords | PGD2 / CRTH2受容体 / DP受容体 / 好塩基球 / 痒疹 / CD203c |
Research Abstract |
1.PGD2及びその受容体の機能解析:PGD2受容体欠損マウスを用いてIgE依存性慢性アレルギー炎症を観察した。DPの欠損は炎症反応に影響を与えなかった。一方、CRTH2単独欠損マウスやDP/CRTH2両欠損マウスでは反応減弱がみられた。これらのマウスでは局所のIL-4,CCL22産生が低下していた。CRTH2特異的拮抗薬によりIgE依存性慢性アレルギー炎症は部分的に抑制された。以上からIgE依存性慢性アレルギー炎症ではCRTH2が部分的に関与しており、CRTH2拮抗薬が治療薬として有用であると考えられた。 2.ヒト皮膚疾患における好塩基球の分布:ヒト皮膚疾患24疾患における皮膚での好塩基球浸潤を解析した。その結果、痒疹、持続時間の長い蕁麻疹、類天疱瘡、好酸球性膿疱性毛包炎虫刺症などで多くの好塩基球浸潤が確認された。また痒疹や疱麻疹患者の末梢好塩基球のCD203c発現は健常人に比べて上昇しており、活性化されていると考えられた。 3.好塩基球からのPGD2産生:好塩基球はマスト細胞と類似点が多いが、その中でPGD2産生をもたないことが大きな違いと長い間考えられてきた。しかし、今回の研究でマウスおよびヒト好塩基球は造血器型PGD合成酵素を発現しており、IgE刺激により明らかにPGD2を産生することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性皮膚炎症反応にけるPGD2受容体とくにCRTH2の機能が明らかになり、また好塩基球がPGD2産生源になっているというあらたな知見もえられている。さらにヒト皮膚疾患のうち、〓痒で特徴づけられる疾患では好塩基球が多く浸潤していることなども示され、当初の目的を達成すべく順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通り、好塩基球浸潤におけるセレクチンの機能解析と皮膚炎症モデルにおける掻破行動を解析する。また痒疹反応モデルの確立も試みる予定である。
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Research Products
(5 results)