2011 Fiscal Year Annual Research Report
全身性強皮症モデルマウスの皮膚硬化に対するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の効果
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22591245
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小川 文秀 長崎大学, 大学病院, 講師 (10333519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 和宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80170968)
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
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Keywords | 強皮症 / 皮膚硬化 / ヒストン脱アセチル化酵素 / モデルマウス / トリコスタチンA |
Research Abstract |
全身性強皮症のモデルであるタイトスキンマウス(TSK/+)にヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンAを皮下注射にて投与したところ、投与群が有意に皮膚硬化の抑制を認めることができた。 TSA群と非投与群マウスの皮膚を回収し、線維芽細胞から産生される細胞外マトリクスであるコラーゲン、線維化に関与するサイトカインであるIL-4,IL-6,IL-13などのmRNA測定をおこなった。さらに細胞成長因子としてfibroblast growth factor (FGF), transforming growthfactor-β (TGF-β)などのmRNA測定をおこなった。その結果、コラーゲンmRNAはTSK/+マウスでTSA投与前はwild type mouseと比較して有意に高値を示していたが、TSA投与後は有意に低下していた。また、FGFもTSIK/+マウスではTSA投与前はコントロールと比較して非常に高い値を示していたが、投与後は低下し、コントロールとの有意差はなくなった。他のサイトカインや成長因子であるTGF-β,IL-4,IL-6もTSA投与前はTSK/+マウスで有意に高値を示していたが、投与後は低下し、コントロールマウスとの差はなくなった。さらに、TSA投与前後でのマウス血清を用いて、抗トポイソメラーゼI抗体、IL-4、IL-6の比較を行った。その結果、TSA投与前後でのこれら抗体、サイトカインの発現量に変化は認められなかった。以上のことより、TSAが皮膚硬化に与える影響は全身的なものではなく、局所における反応であると考えられたため、TSK/+マウス、コントロールマウスより皮膚線維芽細胞を培養し、TSA刺激の有無により,コラーゲンmRNA、各種サイトカイン、成長因子mRNAの発現を比較した。TSA刺激前は、TSK/+マウス由来線維芽細胞はコラーゲンmRNA、IL-6mRNAが有意に高値を示していたが、TSA添加によりその発現は低下し、有意差は消失した。以上の結果より、TSAは皮膚線維芽細胞に作用し、TSK/+マウスの皮膚硬化を抑制していることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に従い研究を進めているため、今後は、HDAC活性の測定を行い、エピジェネティックな変化を測定すると伴に、皮膚に線維化を引き起こす他の薬剤(ブレオマイシン)などを用いてTSA投与前後の皮膚硬化、各種遺伝子発現を検討することで、全身性強皮症の皮膚硬化のメカニズムを明らかにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従い、実験を進めていく。これまでの結果をなるべく早く査読付き英文雑誌に投稿する。
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Research Products
(1 results)