2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入マクロファージを用いた難治性皮膚潰瘍に対する細胞移植治療に関する研究
Project/Area Number |
22591248
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
竹中 秀也 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (80254358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 純 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (50438222)
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Keywords | 移植・再生医療 |
Research Abstract |
我々はこれまでマクロファージが炎症の場において新生リンパ管に分化することや糖尿病によりマクロファージの機能が低下することを報告してきた。一方、肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor、HGF)には血管新生促進作用があることはよく知られており盛んに研究されてきたが、最近HGFリンパ管内皮細胞に作用し、リンパ管新生作用があることも報告され注目されている。HGFの血管新生作用に着目し、閉塞性動脈硬化症などによる下肢虚血患者に対してヒトHGFプラスミドの筋肉内投与が、当科を含めた多施設で臨床治験として行われるなど、血管新生療法としてすでに臨床応用が始まっている。このHGFプラスミドを用いて糖尿病マウスのマクロファージに遺伝子導入を行い、糖尿病条件下により低下した機能がHGFにより改善されるかを検討した。 糖尿病マウス(C57BLKS/J-m^<+/+> Lepr^<db>)より腹腔内マクロファージの分離培養を行った。このマクロファージにHGFの遺伝子をHGFプラスミドとArrest-In^<TM>を用いて導入した。これらの細胞におけるリンパ管増殖に必須であるvascular endothelial growth factor(VEGF)-Cおよびその受容体であるVEGFR3の発現をreal-timePCRにより検討した。その結果、HGF遺伝子を導入された糖尿病マウスのマクロファージでは、VEGFならびにVEGFR3の発現が亢進していることがわかった。 今回の実験で、HGFプラスミドにより糖尿病マウスのマクロファージに遺伝子導入がなされ、低下したマクロファージのリンパ管新生における機能が改善することが確認された。糖尿病性潰瘍においては創傷治癒遅延を認めるが、この細胞を投与することにより創傷治癒の促進作用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
糖尿病マウスを用いて、難治性皮膚潰瘍に対してHGF遺伝子導入マクロファージを局所投与し、その治療効果の有効性を検討する予定であるが、投与する細胞数や組織の採取時期などについての予備実験が必要である。また、糖尿病患者および健常人の末梢血由来マクロファージを用いた基礎実験ならびに臨床試験が予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
HGF遺伝子を導入された糖尿病マウスのマクロファージを用いて、proliferation assay、migration assay、apoptosis assayを行う。また、糖尿病マウスを用いて、難治性皮膚潰瘍に対してHGF遺伝子導入マクロファージを局所投与し、その治療効果の有効性を検討する。 時間的な問題から動物実験を優先して行い、その後に糖尿病患者および健常人の末梢血由来マクロファージを用いた基礎実験ならびに臨床試験について検討する。
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