2011 Fiscal Year Annual Research Report
重症薬疹における制御性T細胞の機能低下を回復させる試み
Project/Area Number |
22591250
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
狩野 葉子 杏林大学, 医学部, 教授 (20142416)
|
Keywords | Stevens-Johnson症候群 / 中毒性表皮壊死症 / 制御性T細胞 / マイコプラズマ / 薬疹 / リンパ球 / 薬剤性過敏症症候群 / ヘルペスウイルス |
Research Abstract |
Stevens-Johnson症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症では制御性T細胞の機能不全によるエフェクターT細胞の過剰な活性化が発症に関与し、一方、薬剤性過敏症症候群(DIHS)では発症早期に、機能的に正常な制御性T細胞数の顕著な増加が認められることを明らかにしてきた。加えて、SJS/TENの発症に関与するマイコプラズマ感染症時には制御性T細胞の機能低下が生じていることを証明してきた。今年度は重症薬疹において制御性T細胞の増加と関わりが推測されるヘルペスウイルス再活性化に注目し、経時的な変動を検索した。薬疹の臨床経過を発症早期、急性期、回復期、回復後などに分類して、ヘルペスウイルス量、すなわちEpstein-Barr virus(EBV),Human herpesvirus 6(HHV-6),Cytomegalovirus(CMV)DNAのPCRによる経時的、定量的解析を試みた。この結果、興味あることに、EBV DNA量において、一連の疾患と認識されているSJSとTENの間に有意な差が検出された。さらに、DIHS治療に用いる副腎皮質ステロイドの有無により、それぞれのヘルペスウイルスDNA量の変動が異なる傾向が認められた。これらの結果は今まで、同一の疾患群をとらえてきたSJSとTENの病態の相違を考える上で、示唆に富む所見であり、B細胞数や制御性T細胞の数的、機能的変化ともあわせて検討する必要性を考えさせた。また、DIHSの治療による各ヘルペスウイルスDNA量の変動の相違は、今後、薬疹の治療の選択に1つのエビデンスを与える非常に重要な所見と考えられ、制御性T細胞の変動、機能を合わせて解析を進展させる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制御性T細胞の機能回復の解析までには至っていないが、研究は制御性T細胞の動態を反映するヘルペスウイルスの変動の詳細な検討まで進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
近年、重症薬疹における制御性T細胞、単球系細胞の重要性が指摘されてきている。ゆえに、Bead-based,multiplexing assaysを用いてSJS、TEN、DIHSのT細胞(制御性T細胞など)、単球系細胞の活性化に関連して産生されるTNF-α、IFN-γ、IL-10、IL-17などの詳細なサイトカインやケモカインの動態を解析し、ステロイド治療、intravenous immunoglobulin(IVIG)治療、ステロイドパルス療法などによるその変動の解析を加えることにより、機能的な制御性T細胞の研究へ発展させる。
|
Research Products
(25 results)