2011 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症治療のステージング・ストラテジー確立のための実験研究
Project/Area Number |
22591255
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安部川 智浩 北海道大学, 大学院・医学研究科, 客員准教授 (80301901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 侯輝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (40455663)
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Keywords | 統合失調症 / Staging strategy / 薬物療法 / 病態モデル / 実験研究 |
Research Abstract |
Methamphetamine(METH)を用いた統合失調症の病態進行モデルにおいて、進行後の脆弱基盤を反映する指標として、METHの反復投与によって成立するプレパルスインヒビションの障害、NMDA受容体遮断薬に対する行動上の感受性亢進に着目し、近年、統合失調症の新たな治療薬として期待されているグルタミン酸関連の薬剤の効果を検討した。 まず細胞外のグルタミン酸放出を抑制するmglu2/3agonistであるLY379268に関して用量を3種設定し、それぞれ脳内微小透析法を用いて、MEYH単回投与によって誘発される内側前頭前野における細胞外グルタミン酸濃度の上昇を抑える用量を決定し、またこの用量が通常の細胞外グルタミン酸濃度を低下させないことを確認した。またこの用量は、METH単回投与によって誘発されるプレパルスインヒビションの障害を回復することも確認できた。さらに、METHの反復投与によって成立したプレパルスインヒビションの障害に関しては、逆に回復しないことがわかった。 次に、METH反復投与によって成立したNMDA受容体遮断薬に対する行動上の感受性亢進は、NMDA受容体賦活作用をもつグリシントランスポーターIの阻害薬であるALX5407によって回復した。これらの実験結果から、我々の病態進行モデルにおいて、mglu2/3agonistのような細胞外グルタミン酸濃度上昇を阻止する薬剤は、病態進行中の阻止効果が期待され、病態進行後の回復効果に関しては、逆にALX5407のようにグルタミン酸神経系を賦活するような作用が必要なのかもしれないことが考えられた。さらにMETH反復投与によって成立する内側前頭前野におけるアポトーシスがグルタミン酸神経におこるのか、それとGABA神経に起こるのかに関しては、二重染色によって判定できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アポトーシスが誘発される細胞が、グルタミン酸神経に起こるのか、GABA神経に起こるのかについて、よい結果が得られず、反復したために多くの時間を割いてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
良いデータが得られない場合には、続けて深追いせず、一度次の実験に移行した後に再検討したり、研究全体の達成度をみながら時間的なゆとりがある際に行うなど、検討手段を工夫する。
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Research Products
(3 results)