2010 Fiscal Year Annual Research Report
TrkBのリン酸化;側坐核における薬物依存習慣化の分子スイッチの機序解明と治療法
Project/Area Number |
22591257
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
戸田 重誠 金沢大学, 附属病院, 講師 (00323006)
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Keywords | 薬物依存 / コカイン / 側坐核 / 可塑性 / TrkB / BDNF / リン酸化 |
Research Abstract |
研究の目的;慢性コカイン投与動物の側坐核TrkBの2つのリン酸化部位、Y516とY817の側坐核内シグナル伝達系における機能的意義を調べる。 結果;(1)Y516とY817の特異的阻害システムの確立;初年度は、Y516とY817をそれぞれ特異的に阻害する細胞膜透過性TATペプチドを設計・合成し、in vivoでの予備実験を開始した。次年度は、ペプチドの至適濃度が決まり次第、行動実験を開始する。(2)慢性コカイン投与動物の側坐核神経可塑性を回復させるN-アセチルシステイン(NAC)が、Y516とY817のリン酸化に及ぼす影響についての検証;初年度は、NACの効果はTrkBを介したタンパク質合成系に影響することによって発現する、と仮説を立て、NACのY516とY817のリン酸化レベルに対する影響を慢性コカイン投与動物で検証した。その結果、NACはY516とY817のいずれのリン酸化レベルにも影響を与えなかった。また、TrkBの下流でタンパク質合成の活性の指標となるmTORや、ribosomal protein S6のリン酸化レベルもNACの影響を受けなかった。一方、NACの前処置の結果、多くのシナプスタンパク質(actin,PSD-95,NA2A,SAP102,GluR2,gephyrinなど)の総量が有意に減少し、NACの効果は、タンパク質合成系への影響ではなく、分解系の促進による可能性が高まった。更に、この分解系への効果は、グルタミン酸非依存性であると確認した。そこで、次年度は、タンパク質合成系への影響は、グルタミン酸以外の要因、例えばドーパミンやBDNFそのものによると仮説を修正し、対照動物で側坐核のドーパミントーンやBDNFを恒常的に遮断し、Y516とY817のリン酸化レベルがどのように変化するか、検討を予定している。
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Research Products
(10 results)