2012 Fiscal Year Annual Research Report
TrkBのリン酸化;側坐核における薬物依存習慣化の分子スイッチの機序解明と治療法
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22591257
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
戸田 重誠 金沢大学, 大学病院, 講師 (00323006)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 精神薬理 / 薬物依存 / 脳由来神経栄養因子 / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究グループはこれまでに、慢性コカイン投与歴のあるラットに急性にコカインを投与した際、側坐核TrkBにおいて、Shcが結合するチロシン残基516(以下、Y516)でのリン酸化が対照群に比べ有意に抑制されている一方、phospholipase C γ(PLCγ)が結合するチロシン残基817(同、Y817)のリン酸化は、対照群では殆ど誘導されないのに対し、慢性コカイン群では、急性コカイン投与以前から2倍以上の亢進を示すことを確認した。Y817のリン酸化は記憶の獲得に、Y516のリン酸化は記憶の統合に重要と推測されている。本研究グループのこれまでに、慢性コカイン投与後の側坐核では、急性コカイン誘導性のLTP早期相は亢進する一方、後期相は障害されていることを確認しており(Toda et al. J. Neurosci, 2009)、今回確認されたTrkBリン酸化のパターンとよく符号する。そこでTrkB各リン酸化部位に対するリン酸化TATペプチドを合成し、各部位の脱リン酸化を特異的に競合阻害することで、側坐核TrkBが関与すると予想される依存症行動の操作を試みた。残念ながら同ペプチドは期待された競合的阻害効果を示さなかった。また、コカイン依存行動を正常化するN―acetylcysteine(NAC)は、この異常なTrkBリン酸化を是正することで側坐核可塑性を正常化し、依存行動を正常化すると仮定したが、検討の結果NACは直接TrkB下流のシグナル伝達系には影響しなかった。両TrkBリン酸化部位に対する特異的な阻害剤はなく、またトランスジェニック動物では依存行動の検討は技術的に難しいため、上記仮説の薬理学的検証は現段階では困難となった。一方、TrkBシグナル伝達系は、NACに影響を受けるシグナル伝達系とは異なることから、新たな依存症治療の分子ターゲットとなりうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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