2012 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の病態においてトレースアミンはどう関わるか
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22591265
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
池本 桂子 福島県立医科大学, 医学部, 研究員 (90184449)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 / ドパミン / 中脳辺縁系 / 統合失調症 / D-ニューロン / 神経幹細胞 / TAAR1 / トレースアミン |
Research Abstract |
統合失調症におけるトレースアミン(TA)の役割について、これまでの研究結果をもとに文献検索を行い、TA産生細胞であるD-ニューロンの減少が統合失調症の中脳辺縁ドパミン(DA)系過活動の原因であるとする仮説「Dー細胞仮説」を提唱した。精神疾患の死後脳研究から発展した病態仮説という点で重要と思われるが、「D-細胞」については知られておらず、国内専門誌では受理されなかった。しかし海外の6誌に掲載でき、賛辞を記す査読者もいた。さらに「ヒトD-細胞の可視化法」で特許申請した。 D-細胞の元来の定義は「芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)を含むが、DAもセロトニンも含有しない非モノアミン細胞」というものであり、最初の報告の時からTA合成細胞であろうと記載されている(Jaeger et al. 1983)。TAと精神疾患の関連は、1970 年代から報告されていたが、TAの受容体のクローニングは2001年である。TA受容体のひとつ、TA関連受容体1型(trace amine-associated receptor, type1: TAAR1)は中脳腹側被蓋野DAニューロンに存在し、TAAR1への刺激減弱がDAニューロンの発火頻度を増加させることが報告された。我々はすでにヒト線条体におけるD-ニューロンの存在と、統合失調症死後脳の線条体と側坐核におけるD-ニューロンの減少を報告しており、D-ニューロンの減少は脳室下帯神経幹細胞の機能低下に起因し、線条体と側坐核のTA減少がDA神経終末上のTAAR1への刺激低下と、中脳腹側被蓋野DAニューロンの過活動の原因であると考えた。線条体神経幹細胞のDAD2受容体の刺激は、前脳の神経幹細胞機能を低下させ、さらなるD-ニューロン減少と中脳辺縁DA過活動を生じさせる。DAD2拮抗薬早期投与が統合失調症初期治療に有効であるとする臨床的知見と整合性がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(27 results)