2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト末梢血RNAを用いた電気けいれん療法の作用機序の検討
Project/Area Number |
22591271
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菊池 淳宏 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (00400151)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古郡 規雄 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (20333734)
兼子 直 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40106852)
|
Keywords | リエゾン精神医学 / 電気けいれん療法 |
Research Abstract |
平成23年度は平成22年度に引き続き、本研究に対して本人と家族から書面で同意を得られた十分な薬物療法を施しても治療効果の得られない統合失調症10名および重症うつ病10名に修正型電気けいれん療法(ECT)を行った。修正型ECT施行前に、統合失調症ではBrief Psychotic Rating Scale(BPRS)、うつ病ではMontogomery Asberg Depression Rating Scale(MADRS)を用い、臨床症状を構造化面接で評価した。副作用評価にはUKU Side Effect Rating ScaleとMini-Mental Scale Examination(MMSE)を用いた。ECT施行後にこれらのRatingScaleを繰り返し行い、ECTの効果と副作用の発現を客観的に評価した。対象の中にはECTによっても十分な臨床効果のない患者が認められた。また、対象となった患者の末梢血RNAからECT前後での遺伝子発現量の変化を、DNAチップを用いて網羅的解析を行った。 平成23年度内では対象数が少なく、本研究の目的の一つである「効果発現に関する遺伝子の同定」までには至らなかったが、今後、対象数を増やして引き続き検討していく。 本研究の検討を通じて、ECTの作用機序と関連した他のテーマについての解析も行った。大うつ病の患者において血しょう中のパロキセチン(抗うつ薬)と血しょう中のBDNFレベルの関係について報告した。また、大うつ病患者において、パロキセチンへの臨床反応と血しょうの薬物濃度に負の相関関係がみられたことについても報告した。これらのテーマについても対象数を重ねて更に研究を進めていく。また、これらの知見の集積がECTの作用機序の解明の一助になるものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例数が予定通りに集まっていない。交付申請時には1年あたり50例ほどを予定していたが、実際は20例にとどまっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、統合失調症と重症うつ病の症例を積極的に研究へエントリーさせていくよう努めて、症例数をのばしていく。研究の方法は申請時と変更ないが多角的にECTの機序にせまるため、遺伝子的な検討に加えて薬理学的な検討も併せて行っていく。
|