2012 Fiscal Year Annual Research Report
海馬部位特異的遺伝子改変動物を用いた認知機能におけるグルタミン酸神経系の機能解明
Project/Area Number |
22591274
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神出 誠一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30376454)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 海馬 / 苔状細胞 / NMDA受容体 / 遺伝子改変動物 / 情動 |
Research Abstract |
24年度は海馬苔状細胞特異的NMDA受容体欠損マウスについて、神経再生の低下と行動上の変化の関連について検討を重ねた上で、最終年度として研究のまとめを行った。 入力刺激による微細な違いに対する反応の違いを検討するためのパターン分離試験では対照より障害される傾向にあったが、むしろ比較的弱い電撃刺激後のすくみ行動の有意な低下が目立った。このすくみ行動の低下については電撃を繰り返すことで次第にすくみ行動が増加することが分かった。他の痛みや感覚刺激に対する検討から、この表現型は痛み閾値の異常によるものではなく、刺激に対する認知や情動の反応異常であることが示唆された。またT迷路等を用いた認知機能の検討では異常を示さなかった。これらの結果と、以前に報告したオープンフィールド試験での立ち上がり行動の低下は不安との関連が示唆されていることや、海馬歯状回での神経新生の低下がげっ歯類で統合失調症様の表現型を呈することはYamasakiらの報告により広く知られていることと合わせて考えると、本マウスから得られた結果は海馬苔状細胞NMDA受容体欠損が歯状回顆粒細胞下層の神経新生を抑制することで情動に関するの精神症状の発症機序の一部を再現しうることを示したと考えられる。 いわゆるレスキュー実験としてBDNF発現増強を介して神経新生を増加させることで知られているRS67333を投与して行動上の変化等を検討したが、残念ながら有意に行動学的な変化を呈するには至らなかった。薬理学的に歯状回門部と言った非常に限定された部位のみでGABAを増加させることは非常に困難であり、これまでに得られた組織学的・行動学的変化のメカニズムを明らかにすることは今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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