2010 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患における脳形態変化の疾患特異性に関する研究
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22591275
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 努 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (60345577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 道雄 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (40236013)
川崎 康弘 富山大学, 大学病院, 講師 (80242519)
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Keywords | 磁気共鳴画像 / 統合失調症 / 双極性障害 / 上側頭回 |
Research Abstract |
磁気共鳴画像(MRI)を用いて、精神病発症の高危険群であるARMS(at risk mental state)や初発統合失調症群、および気分障害圏を対象とした脳画像解析を行った。今年度は特に上側頭回体積に注目した。これらの結果を以下にまとめる。 1.関心領域法により未治療のARMS症例97例(うち31例が後に精神病を発症)および年齢と性別をマッチングさせた健常群42例の上側頭回体積を計測した。その結果、ARMS群全体として、健常群と比較して有意に上側頭回体積が減少しており、精神病への脆弱性を表す結果を考えられた。一方、後に発症したARMS群と発症しなかったARMS群には有意差はなく、将来の発症予測性には乏しいと考えられた。 2.1から4年の間隔で2度の撮像がなされた初発統合失調症群18例、統合失調型障害群13例、および健常群20例を対象に、上側頭回の進行性形態変化を比較した。その結果、初発統合失調症群のみに有意な進行性灰白質減少がみられ、その程度は陽性症状の改善不良と有意に相関した。またフォロー期間中の抗精神病薬投与量と進行性の体積減少の間に負の相関があり、治療により病初期の活発な病的過程が緩和される可能性が示された。 3.26例の双極性障害患者および年齢と性別をマッチングさせた24例の健常群を対象に上側頭回体積を計測し、患者群では左上側頭回体積減少がみられること、リチウム投与量が右上側頭回体積と正の相関を示すことなどを見出した。
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