2010 Fiscal Year Annual Research Report
広汎性発達障害におけるプロソディ理解力の生理学的指標の確立
Project/Area Number |
22591277
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
下道 喜代美 金沢大学, 医学系, 研究員 (70569475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊知 充 金沢大学, 医学系, 特任助教 (00377384)
松井 智子 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (20296792)
棟居 俊夫 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (50293353)
新井田 要 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (40293344)
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Keywords | 脳科学 / 幼児 / 脳磁図 / 聴覚 / 自閉症 / 言語 |
Research Abstract |
幼児期は言語発達が目覚ましい時期である。就学以降の人を対象とした研究では、広汎性発達障害や言語障害がある人とない人では、音や人の声などの刺激によって引き起こされる脳の反応が、異なったパターンを示すことが言われている。 我々は幼児期の段階で、それらの聴覚刺激による子どもの脳の反応を捉えることができれば、子どもの音や声の処理能力や言語能力に関わる発達の指標となりえる可能性があるのではないかと考えた。 平成22年度は、我々は3-5歳の定型発達児28名を対象に、小児用MEG(脳磁図)を用いて「音声」に対する子どもの聴覚刺激による脳反応を測定し、言語能力との関係を調べた。「ね」という呼びかけや共感を表す日本語音声を聴覚刺激とし、等価電流双極子(equivalent current dipole;ECD)法で聴覚野の反応のIntensityについて解析を行った。さらに、各子どもの聴覚野の反応とK-ABC (Kaufman assessment battery for children)の下位検査である言語課題『なぞなぞ』の得点と比較した。 その結果、28例中23例から、両半球において100-200msの時間幅で明らかなIntensityのピークが得られた。スピアマン順位相関において、子どもの左半球のIntensityと『なぞなぞ』の得点に有意な相関(ρ=0.46,p<0.05)が認められた。 これは子どもの言語発達と聴覚野の反応は深く関係している可能性を示唆している。 よって平成23度は、平成22年度に試行した健常児(試行後12ケ月以上経過するように試行日を調整する)同じ検査を試行する。それにより、言語発達の度合いと、生理学的な変化を記録し、2時点における縦断的な解析を進めると共に、ASD児に対しても同じ検査を試行し、健常児とASD児の音や声の処理能力、言語能力の違いを明らかにしていく予定である。
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Research Products
(8 results)