2013 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害に伴う脳高次機能障害の回復可能性に関する研究
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22591283
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00456675)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 神経性無食欲症 |
Research Abstract |
患者群および健常者群のサンプリングを継続し、患者群37例、健常者群43例について欠損値はあるものの完了している。 ・サイモン課題を用いた検討。神経性無食欲症の食行動における衝動コントロールの低下に、反応抑制という認知機能の障害が関わっている可能性を検討。意図した反応が自動化された反応と不一致である場合に生じる誤反応が、健常者よりもAN患者において多かった。 ・MRI構造画像解析を用いた検討。やせた摂食障害患者は健常者と比べて、年齢による補正後に前頭前野・頭頂連合野・帯状回で、年齢とBody Mass Indexによる補正で左側視床枕で、体積低下が見られた。視覚情報の処理の障害(視床枕)に、やせによる認知・実行機能や視空間認知の障害(連合野・帯状回)が加わり摂食障害の病態が形成されると考えられる。 ・顔認知に関する検討。神経性無食欲症患者の身体像の歪みに対する自他の区別の影響を検証するために、従来の身体像ではなく顔写真を用いたスケールを開発中。予備実験として、顔の横幅および肥満の判断に対する顔の布置情報の影響を健常成人女性群にて確認した。顔写真を使った身体像のスケール開発においては顔刺激ならではの知覚条件を統制する必要があることがわかった。 ・質問紙にみる性格傾向・精神病理についての検討。亜型3群と健常者の計4群で解析。既報とは、精神病理、性格傾向、両親とのアタッチメント指標において患者群で不一致点が各所に見られたが、健常者の指標も既報とは大きく異なる値がみられた。患者群・健常者共に、同じ国・民族においても、年齢層や調査年代の違いによリ、これらの値は変化し続けていることが示唆された。 これらの知見はすべて発表準備段階にあり、今後これらの要素への包括的な解析とともに臨床場面への応用を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常者と患者の両群についておおむねサンプリングは完了しているが、回復後の患者に関する追跡調査のサンプル数が不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
栄養回復後のサンプル数の不足について、再度のアプローチを試みるにあたり、アクセス方法についての再検討や、サンプリングへのインセンティブの導入についても考えていく。
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