2012 Fiscal Year Annual Research Report
軽度認知障害の睡眠構造とアルツハイマー病移行との相関について
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22591286
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
新野 秀人 香川大学, 医学部, 准教授 (10393430)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 軽度認知障害 / アルツハイマー病 / 睡眠ポリグラフ検査 / レム睡眠 / 徐波睡眠 / 移行ハイリスク / 周期性四肢運動障害 |
Research Abstract |
軽度認知障害(mild cognitive impairment; MCI)のうちアルツハイマー病(AD)に移行する症例においては、AD前段階としての評価を早期に行い、早期に治療的介入を開始することが望まれる。平成24年度は、ADに移行する群を睡眠医学的観点から検証することを目的としている。 MCI患者16例を対象として次の検討を行った。①2年間の経過観察後の認知機能、生活機能などを評価し、ADに移行しているかどうかを診断した。②MCIのままであった群(MCI群)とADに移行していた群(AD移行群)の2群に分け、エントリー時に施行した睡眠ポリグラフ検査(PSG)で得られた変数を両群間で比較した。 エントリーから2年後にAD移行群は5例、MCI群は11例だった。両群で年齢、エントリー時のMMSE得点に差はなかった。エントリー時のPSG変数は以下の通りである。括弧内はMCI群:AD移行群の平均値を示している。総睡眠時間(362.1±30.7分: 341.1±24.5分)、睡眠効率(76.5±6.5%: 72.0±3.5%)、睡眠潜時(20.7±6.8分: 28.0±12.2分)。非レム第1段階(20.0±7.7%: 25.1±9.0%)、非レム第2段階(53.7±4.3%: 55.1±7.9%)非レム第3+4段階(10.9±3.8%: 7.4±2.8%)、レム睡眠(15.4±2.6%: 12.3±2.1%: p=0.03)、PLM指数(回/時)(18.9±7.1: 24.4±6.4)だった。 AD移行群ではMCIの時点で既にレム睡眠が有意に減少していた。レム睡眠発現にアセチルコリン系神経伝達の関与が大きい。AD移行群ではアセチルコリン系神経伝達が早期から低下しており、レム睡眠が減少することが考えられる。アルツハイマー病移行のハイリスクを睡眠医学的に検証することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軽度認知障害(MCI)16例において、エントリー時評価(精神医学的評価、認知機能評価、睡眠ポリグラフ検査など)を施行し、2年後の追跡調査を実施した。アルツハイマー病に移行した群としなかった群の間で、MCIの段階における睡眠構造の相違について解析した。レム睡眠の時間、総睡眠時間に占める割合が有意に減少していることを見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに軽度認知障害(MCI)患者25名が、エントリー基準を満たし同意を得たため研究に参加した。16名は平成24年度に2年の観察期間を終了して、MCIからアルツハイマー病に移行した群と移行しなかった群に分けられた。睡眠ポリグラフ検査変数を両群で比較した。平成25年度は残りの9例が観察期間を終了する予定である。アルツハイマー病への移行有無を評価し、先述した解析の例数を増やす。
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Research Products
(8 results)