2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール誘因性神経機能障害の分子機構―非小胞性シナプス輸送による解析―
Project/Area Number |
22591287
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
竹内 義喜 香川大学, 医学部, 教授 (20116619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 准教授 (30274294)
太田 健一 香川大学, 医学部, 助教 (50403720)
鈴木 辰吾 香川大学, 医学部, 助教 (50451430)
中村 和彦 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80263911)
今川 智敬 鳥取大学, 農学部, 教授 (20232605)
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Keywords | シナプス / アルコール / タンパク輸送 / 離出様分泌 / 非小胞性輸送 / HRP / 迷走神経 / 孤束核 |
Research Abstract |
タンパクの細胞間輸送に関して、シナプス小胞によらない新しい輸送システムの存在を指摘してきた。従来、このような非小胞性輸送はシナプス伝達の障害を引き起こした場合にみられることを報告してきた。本年度は昨年度に引き続き、胎生期あるいは生後の脳の成長・発達に重大な影響を与えるアルコール疾患をとりあげ、アルコール依存症モデル実験動物の脳組織を観察した。さらに、実験結果を従前のRab3A-siRNA注入例と詳細に比較検討した。実験はモデル動物の迷走神経にWGA-HRPを注入し、神経終末領域である孤束核でシナプス構造の変化について観察を行った。特徴的な構造変化は、HRP反応産物(HRP-RP)を含む神経終末のシナプス前膜がシナプズ後膜と共に2次ニューロンの樹状突起あるいは細胞体に陥入し、切り離されたことであった。さちに、これら陥入部にはしばしばHRP-RP, vacuoles, lamellar body, flattened cisternaeなどが存在した。このような「離出様分泌構造」はしばしば外分泌腺にみられるものであり、また、Rab3A-siRNA注入実験結果と酷似するものであった。しかしながら、陥入内部に存在した微小構造物が何を含有するのか、あるいはどのような機能をもっているのかなどその詳細な解明については今後の課題として残った。ただ、アルコール依存症を研究対象としている本実験からは、神経障害あるいは神経機能回復に関与する何らかの物質を含むものと推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルコール依存症動物の脳組織を従前のRab3A-siRNA注入実験と比較検討した結果、「離出様分泌構造」は酷似したが、その内部は全く異なり、vacuoles, lamellar body, flattened cisternae等が含まれていた。これらはアルコール性神経細胞障害に対応したものと考えられ、非小胞性シナプス輸送の研究が非常に重要な意味を持つ段階へ進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
アルコール曝露動物の脳組織により示された「離出様分泌構造」ならびに含まれていた微小構造物の研究が主なものとなる。シナプスにおけるこれら非小胞性輸送はアルコール性神経細胞障害に対応するものと考えられ、この点において神経栄養因子が候補の第一にあげられる。さらに、シナプス前膜・後膜の変化についても、従来の細胞骨格を形づくるアクチンフィラメントの解析に加え、細胞膜脂質の分析を通して「離出様分泌構造」形成のメカニズムを解明していく。いづれにしても、従前の小胞性輸送と全く異なるシナプス輸送の理論的確立を目指しているものである。
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Research Products
(4 results)