2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591291
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤瀬 昇 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20305014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 学 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60284395)
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Keywords | 高齢者のうつ病 / 自殺予防対策 / GDS / 独居 / 南九州 |
Research Abstract |
わが国において自殺者数が年間3万人を超える高止まりの状況が続くなか、そのうち高齢者の占める割合は高く、今後さらに高齢化がすすむことを考えると、高齢者のうつ病対策は喫緊の課題と言える。熊本県球磨郡あさぎり町中心部の免田地区在住の平成22年1月時点で65歳以上の高齢者全員を対象に、前向き長期観察・介入研究を実施し、うつ病およびうつ状態の出現率を明らかにし、うつ病発症の危険因子を分析した、うつ状態の評価には、Geriatric Depression Scale (GDS)を用いた,1574名の対象者のうち有効回答率は58.8%で、二次調査への参加率は41.3%であった診断面接の結果、何らかの精神疾患と診断された人は33名いて、そのうち、うつ病は11名で、その出現率は1.2%であった。平成21年度の予備的調査では、うつ病の出現率は3.1%であったことから、当該地域での啓発活動や相談事業などが出現率の低減に効果的だったことが考えられた.うつ状態と関連があった因子は、「年齢」「介護」「通院」「同居」「唾眠」「食欲」「金銭的不安」「飲酒習慣」であった希死念慮と関連があった因子は、「年齢」「介護」「同居」「睡眠」「食欲」「金銭的不安」であった,わが国における自殺対策先進地域である東北地方での先行研究の多くは、高齢者の自殺およびうつ状態は、同居とくに多世代同居の場合に多いと報告されているが、今回われわれの調査では、うつ状態および希死念慮は独居の場合に有意に多く認められた。南九州における地域在住高齢者のうつ病に関する疫学調査はほとんどなく、その実態は不明である東北地方においてこれまで蓄積されてきたデータとの共通点および相違点を抽出し、うつ病の地域特性(多様性)の実態を明らかにするとともに、南九州独自のうつ病ならびに自殺予防対策を考える上での基礎的データにしたいと考えている
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