2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
吉村 匡史 関西医科大学, 医学部, 講師 (10351553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
西田 圭一郎 関西医科大学, 医学部, 助教 (40567567)
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Keywords | 医療・福祉 / 精神医学 / 神経生理学 / 統合失調症 / 定量薬物脳波学 |
Research Abstract |
未服薬統合失調症患者に対して抗精神病薬を投与した際の脳波変化を、定量脳波解析手法であるStandardized low resolution brain electromagnetic tomography (sLORETA)を用いて解析し、その結果を健常者データベースであるBRL-sLORETA Normsと比較することで、投与前後の脳内電気活動の変化を評価した。現在までに解析対象となった患者は2名(患者A、B)で、両者において、抗精神病薬aripiprazole (APZ)の服用開始前と開始後の2回、安静時脳波を測定した。sLORETAとは、頭皮上脳波から脳内電流密度分布を三次元的に推定する手法である。また、BRL-sLORETA Normsは、139名の健常者の安静時脳波から構築された健常者データベースである。sLORETAにて、患者A、BのAPZ服用前後の脳内電気活動を7周波数帯域(δ,θ,α1・2,β1~3)毎に算出し、各々の結果をBRL-sLORETA Norms(健常群)と比較した。患者Aでは、投与前には右前頭部・側頭部のδ活動が健常群に比して有意に高かったが、投与後にその有意性は消失した。また、服用後の帯状回のβ2活動が、健常群と比較して有意に高かった。患者Bでは、健常群に比して、服用前後ともに、後頭部のδ活動が有意に高く、右海馬傍回を中心としたβ2活動が有意に低かった。PANSSスコアは患者A、Bともに低下しており、変化率はそれぞれ12.7%、10.9%であった。患者Aにおけるδ活動の変化は、APZが脳機能を正常化の方向に導いたものと解釈し得た。β2活動の高さは、同患者がベンゾジアゼピン系睡眠導入剤を併用していたことによる。患者Bでは、服用前後で有意な変化は認めなかったと考えられる。現時点では対象数が極めて少ないことから、今後更に鋭意努力を重ねる必要がある。
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Research Products
(1 results)