2010 Fiscal Year Annual Research Report
眠気による交通事故の発生要因と対策に関する系統的研究
Project/Area Number |
22591312
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
井上 雄一 (財)神経研究所, 研究部, センター長 (50213179)
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Keywords | 過眠症 / 運転事故 / 睡眠時呼吸障害 / 反復睡眠潜時検査 / スクリーニング |
Research Abstract |
1. 居眠り事故発現の関連要因を明らかにするため、東京都内の運転免許更新センターで、過去5年間での居眠り運転の既往、生活習慣、常習性いびき/周囲から確認された夜間呼吸停止のエピソードを含む睡眠障害既往、運転習慣についての調査を行った。その結果、居眠り運転既往を従属変数とした場合、夜間睡眠時間の短縮(6時間未満)、月間走行距離が2000km以上であること、一回の走行時間が平均60分以上であること、常習性いびき/無呼吸の存在が、有意な関連要因となった。このことから、睡眠負債の存在と睡眠時呼吸障害の存在が、居眠り運転発現に関与している可能性が推定された。また、月間運転距離が長く、かつ1回ごとの運転時間が長いドライバーについては、居眠り運転発現リスクと、これを抑止するための手順(仮眠、カフェイン飲料摂取、外気を入れるなど)について、積極的な啓発を行うことが必要と考えられた。 2. 3400名の公共機関の運転手に対し、自覚的な眠気の存在(Epworth sleepiness scale ; 11点以上)、睡眠時呼吸障害(SDB)と関連する、常習性いびき/周囲から確認された夜間呼吸停止のエピソードの存在、肥満ならびに高血圧の存在をスクリーニング項目として一次調査、続いてSDB検出用の簡易機器(PM)による二次スクリーニング、これで呼吸障害指数15/時間以上のケースについては、終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)と反復睡眠潜時検査(MSLT)による眠気水準の検討を行った。また、非SDB事例については、構造化面接により眠気の原因についての調査を行った。この結果、ESS11点以上の運転者では30%以上が交代性勤務により眠気を生じていること、SDBの有病率が3.1%で、この約半数が病的眠気を生じていることが明らかになった。交代性勤務への対策の強化と、SDBスクリーニングの重要性が明らかになった。
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Research Products
(4 results)