2010 Fiscal Year Annual Research Report
固形癌分子標的治療の早期客観的治療効果判定法の確立
Project/Area Number |
22591319
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 聡 金沢大学, 附属病院, 講師 (30313638)
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Keywords | 肝細胞癌 / 分子標的治療 / 造影CT |
Research Abstract |
本年度は、肝細胞癌の分子標的治療薬であるソラフェニブ投与例を対象に投与前と投与後の腫瘍の変化をCT画像で解析した。総症例数26例。ソラフェニブ投与日数は平均58日の患者群で30日以上の投与例で最終的に画像上PDと判断され投与が中止された例は15例、SDは3例であった、腫瘤サイズの縮小は4%のみで、他は不変~増大を呈した。腫瘤内部濃染の低下あるいは不染部を呈する病変が42%に見られた。腫瘍血管の拡張(腫瘤内の動脈性血管の顕在化~偽動脈瘤様所見)を呈する病変が23%に見られ、うち15%は経過中に出現していた。腫瘍血管の拡張は投与期間30日以上の群で認められたが30日未満の群では確認されなかった。30日以上投与されたSD例の全例で腫瘍血管の拡張が観察された。また,PD例において腫瘍血管の拡張が観察された腫瘤では腫瘤サイズの増大は見られたが比較的広範な内部壊死も伴っていた。以上から造影CT上、ソラフェニブ投与後30日以上経過例で観察された腫瘍血管の拡張所見はSD例で見られる頻度が高く、PD例でも内部壊死を呈した病変に認められており治療効果予測に応用できる可能性があることが判明した。これまで分子標的治療後の腫瘍内部の形態学的変化に関するまとまった報告はなく観察母数を増やした上で今回着目した所見と治療効果との問に有意な相関が確認されれば早期治療効果判定のメルクマールとなる可能性があり意義深い新知見である。来年度は、ラットを用いてCT潅流画像で得られる血流パラメータとDual-Energy CT(DE-CT)装置を用いた肝造影CT画像で得られる腫瘍内ヨード量定量値との関係を解析し、いずれの手法がより簡便で有用性の高い手法であるかを検討する予定である。
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Research Products
(7 results)