2011 Fiscal Year Annual Research Report
固形癌分子標的治療の早期客観的治療効果判定法の確立
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22591319
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 聡 金沢大学, 保健学系, 准教授 (30313638)
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Keywords | 肝細胞癌 / 分子標的治療 / 造影CT |
Research Abstract |
平成23年度は肝細胞癌に対するソラフェニブ治療前後におけるperfusion CTパラメータの変化に関する検討を行った。具体的には肝細胞癌に対するソラフェニブ投与前後に腫瘍部をターゲットとしたperfusion CTを施行し、血流パラメータ値の変化を評価した。対象は進行肝細胞癌に対してソラフェニブ投与を施行した7例10病変。ソラフェニブ投与開始前及び開始後超早期(約1週間後)にSiemens社製SOMATOM Definition flashに搭載されたAdaptive 4D Spiralを使用し全肝のperfusion CTを施行し腫瘍部位の血流パラメータ(Blood flow (BF, ml/100ml/min), Blood volume (BV, ml/100ml))を測定した。全病変の平均BF値は治療前33.8±9.8(average±SD)、治療後27.7±12.5、BV値は治療前7.6±1.6、治療後6.6±2.2であった。治療開始後1-6ヶ月の画像と治療開始前の画像を比較し、観察病変を腫瘍サイズの増大がみられず、かつ腫瘍部分の濃染低下を示している群(濃染低下群;n=4)とそれ以外の所見群(非濃染低下群;N=6)の2群に大別し、治療前後のパラメータ変化の比[(治療前値-治療開始後値)/治療前値]を比較したがBFでは濃染低下群0.24に対し非濃染低下群0.13(p=.57)、BVでは濃染低下群0.25に対し非濃染低下群0.09(p=.18)といずれも濃染低下群においてより大きな値の減少を認めたが有意差は得られなかった。 来年度は血流解析のもう一つの柱であるDual-Energy CT (DE-CT)装置を用いた肝造影CT画像で得られる腫瘍内ヨード量定量値の検討がどの程度腫瘍血流の評価に有用であるかを検討し、DE-CTによるヨードマップ画像の応用が分子標的治療の早期効果判定のバイオマーカーとして使用可能かどうか判断する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度の検討に引き続き実際の臨床例における分子標的治療例のCT灌流画像の血流パラメータ解析を施行し、治療後早期の検討では各種血流パラメータの変動を観察した。症例数が少ない点、臨床例での検討であり病理学的裏付けが得られない点が問題であるが治療効果を予測させるような血流パラメータの優位な変動は乏しいことからCT灌流画像による分子標的治療の超早期効果判定は難しいことが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の検討で分子標的治療直後の超急性期に行ったCT灌流画像では血流パラメータの変動は治療効果を予測させるほど有意な変化がみられにくいことが判明した。平成24年度は、血流解析のもう一つの柱であるDual-Energy CT (DE-CT)装置を用いた肝造影CT画像で得られる腫瘍内ヨード量定量値の検討がどの程度腫瘍血流の評価に有用であるかを検討し、DE-CTによるヨードマップ画像の応用が分子標的治療の早期効果判定のバイオマーカーとして使用可能かどうか判断する予定である。
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Research Products
(4 results)