2011 Fiscal Year Annual Research Report
高磁場MRI内での磁性ナノ粒子を用いた腫瘍治療の基礎的検討
Project/Area Number |
22591334
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
郷原 英夫 岡山大学, 大学病院, 講師 (10379745)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平木 隆夫 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (50423322)
金澤 右 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20243511)
加藤 博和 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (60127511)
|
Keywords | ナノ磁性流体 / MRI / 発熱 |
Research Abstract |
研究の最終目標は高磁場MRI内での磁性流体による発熱が腫瘍治療に必要十分であるかを検討するものである。そのため平成23年度には平成22年度に確定したRFパルスを連続印加するためのシーケンスを用いて、実際の発熱実験を行った。 1)ファントム:容器はゲルファントム容器(65×42×9cm)、ファントムはポリアクリル酸ゲル(25L)は蒸留水、ポリアクリル酸146.25gと塩化ナトリウム(NaCl)20.0gから作成した。 2)MRI:装置はPhillips社製、Achieva1.5Tを使用した。撮像条件は前年に決定したシーケンスを用いたが、撮像時間は15分に変更した。 3)温度計:Luxtom社製蛍光ファイバー式温度測定器 4)発熱計測点:上記容器にポリアクリル酸ゲルを入れて、1ml注射器内に100%、50%濃度のナノ磁性流体(リゾビスト)を注入したものをガントリーのなるべく辺縁に位置させ、ゲルファントム表面からの深さを1cmとして温度測定を行った。従来の実験からガントリーの辺縁部での測定をまず行った。対照は1ml注射器内にファントムゲルを注入したものとして、同様の測定を行った。 5)結果:100%のリゾビストと50%のリゾビスト内でそれぞれ平均3.15±0.87℃、2.56±0.93度の温度上昇が見られた。しかし対照群も2.27±1.20度の温度上昇が見られ、有意差が見られなかった(p=0.34)。 本年度の研究により本実験でのMRI内で見られる発熱は磁場不均一による誘電加熱による発熱を見ており、磁性流体がRFパルスによる磁性体そのものの発熱ではない可能性が示唆された。ガントリー辺縁では磁場不均一が強いため、来年度は磁場が最も均一であるガントリー中央での同様の実験と、ナノ磁性流体の濃度が不足している可能性があるため100%以上の濃度のナノ磁性流体による実験を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRI内での発熱には誘電加熱など様々な発熱形式があり、その要因を排除した場合にナノ磁性流体そのものの発熱を検出するのが現時点でまだあまり達成されていない。これは機器面では人に用いることのできるシーケンスではそれほど強いRFパルスを出すことができないこと、MRIのガントリー内の磁場が不均一であり誘電加熱が生じてしまうこと、物質面ではナノ磁性流体の濃度が不足しているなどの要因が考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
11で述べたように機器面ではRFパルスの出力を上げていくことはこれ以上は困難である。ガントリー内の磁場不均一性の問題はガントリー中心部が最も均一であるというのは一般に知られた事実でるため、架台などを用意して発熱実験をガントリー中心部付近で行うことが対策としてあげられる。またナノ磁性流体の濃度の問題は市販薬(リゾビスト)の10倍濃度液を作成中であり、その濃度において再実験を行う予定である。
|
Research Products
(8 results)