2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍内アポトーシス発現の定量的評価のための新しい分子画像化技術の確立
Project/Area Number |
22591335
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 昌宏 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (50225306)
|
Keywords | アポトーシス / MRI / 分子イメージング |
Research Abstract |
1)我々の開発した新しいADC標準ファントムを用いて、培養細胞を臨床装置を用いて画像化する撮像法につき、基礎的な検討を行った。ADC標準ファントムとして、Polyethylene glycolと蒸留水を用いた。ファントム容器には、分光光度測定用のキュペットを用いた。これらを生理食塩水を満たしたファントム容器コンテナに入れ、恒温槽で37℃に加温した。Philips社製Achieva1.5T MRI装置のhead coilを用い、multi shot EPIのシークエンスで、撮影条件としてTR=2000ms、TE=shortest~100ms、b値=0、250、500、1000s/mm^2で撮像し、各b値の3軸方向の拡散強調画像から各pixelごとの信号強度を二乗平均平方根の計算に従って、計算し、isotropic画像を作成した。各b値のisotropic画像からpixel位置ごとに平均二乗法を用いて、b値の変化に対するADC値の信号変化の傾きを求め、ADC mapを作成後、標準ファントムのADC値と比較し、細胞を入れたバイオファントムにおいて幅広い範囲のADC値が正確に測定できる撮像条件として、b値を500s/mm^2以下に設定する必要があることが明らかにした。 2)我々が新規開発したバイオファントムを用いて、細胞密度とADC値の変化との関係およびそのメカニズムについて検討した。細胞株にはJurkat-N1を用いた。細胞を我々が開発したバイオファントムに3.0×107~1.2×109個/mlとなるように封入、上記の方法で撮像し、ADC mapを作成した。この際、細胞を超音波で破砕したもの、エタノール処理を加えたものでも検討を行った。この結果、細胞密度の増加に対応して、ADC値は低下した。得られた結果から、細胞外空間の関与につき、細胞間空間が一定以下に低下した際には、ADC値に細胞外空間の水分子の抑制が影響を及ぼすことが明らかとなった。超音波破砕、エタノール処理によりADC値は上昇し、顕微鏡画像での観察による変化と相関した。我々の開発したバイオファントムを用いて、細胞レベルでADC値を検討する方法は、臨床画像での腫瘍のADC値の変化を推測するための有用な手法であることを確認した。 3)上記の結果を、第38回日本磁気共鳴医学会大会で3演題、第115回日本医学放射線学会中国・四国地方会で1演題を報告した。
|
Research Products
(4 results)