2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスライスCTによる大動脈弁および弁周囲組織の非侵襲的評価ー心エコーとの比較
Project/Area Number |
22591377
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
津田 有輝 産業医科大学, 医学部, 助教 (50525491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾辻 豊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30264427)
岡崎 昌博 産業医科大学, 医学部, 准教授 (40233316)
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 冠動脈狭窄 / マルチスライスCT / 心エコー図検査 / 大動脈弁周囲組織 / 左室機能 |
Research Abstract |
マルチスライスCT(MSCT)の登場と機器の進歩により高い空間分解能が得られるようになり心臓MSCTは普及してきた。心臓MSCTで最も求められることは冠動脈の描出とその解析であるが、同じ検査データ内に心筋灌流や心機能の情報も含まれており、冠動脈病変のみならず心筋や弁周囲組織、心機能の評価を同時に行うことは重要である。本研究の目的は、高齢化社会を反映し増加している大動脈弁狭窄症(AS)の重症度評価における心エコー図検査の問題点を究明し、MSCTにより大動脈弁、弁周囲組織等を冠動脈と同時に一期的に評価・検討することである。H22年4月からH23年2月の11ヶ月の間に、冠動脈狭窄が疑われ心臓MSCTを施行した連続131例(男性80例、女性51例、平均年齢65.1歳)が対象症例となった。うちASを合併した症例は4例(男性2例、女性2例、平均年齢76.0歳)であった。AS4例のうち、MSCTにて50%以上の冠動脈狭窄病変を有したのは3例であり、1例には冠動脈狭窄を認めなかった。大動脈弁形態は全例石灰化が強く3例が三尖弁、1例が二尖弁であった。弁尖の数はMSCTでは4例とも判定可能であったが、心エコー図検査では2例のみ判定可能であった。大動脈弁弁口面積は、MSCTはプラニメトリ法で計測し平均0.78mm^2であったのに対し、心エコー図検査では連続の式を用いて計測したが0.56mm^2と心エコー図検査の方が小さい傾向にあった。大動脈弁輪径、バルサルバ洞径および大動脈流出路径はいずれもMSCTよりも心エコー図検査の方が小さい傾向にあった。左室駆出率に関しては、MSCTおよび心エコー図検査ともに45%前後でありほぼ同等の値であった。ASの症例数がまだ少ないため、今後はASの症例数を増やしてさらに評価、検討を行う予定である。
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