2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規なグルタミン酸代謝調節型受容体サブタイプ1(mGluR1)のPET薬剤の開発
Project/Area Number |
22591379
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
張 明栄 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (80443076)
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Keywords | PET / 分子イメージング / 核医学 / mGluR1 / 脳疾患 |
Research Abstract |
グルタミン酸代謝調節型受容体サブタイプ1(mGluR1)が脳虚血、疼痛、てんかん等の種々の疾患への関与の可能性が示唆されている。しかしながらその生理機能が疾患との関連は必ずしも明確でない。また、mGluR1に結合活性を示す化合物の薬理活性や治療効果なども十分に確認できていません。mGluR1研究にPETイメージングは役立つが、それに使用できるPETリガンドは未だにない。本研究はmGluR1研究に有用なPETイメージングリガンドを開発し、臨床への初めての応用研究を目指す。そこで我々は本研究において、mGluR1に特異的かつ強力な阻害剤であるFPTQに着目し、^<18>Fの標識に成功した。また、この標識化合物のPETプローブとしての有用性を評価するために小動物を用いて実験を行った。 ^<18>F-FPTQはブロモ前駆体をK^<18>Fと反応させることにより合成することが出来た。ラット脳切片を用いたin vitroオートラジオグラフィー(ARG)において、^<18>F-FTPQは、mGluR1の高発現領域である小脳、視床、海馬で高い放射能集積を呈した。また、mGluR1に特異的なアンタゴニストであるJNJ16259685の負荷によって、放射能の集積はほぼ消失した。 ^<18>F-FPTQを用いたPETは、ラット脳において、in vitro ARGで示した脳内分布と同じように、小脳、視床、海馬で高集積を呈した。更に、その集積の特異性についてもJNJ16259685の前投与によって示された。本研究により、新規PETリガンドである^<18>F-FTPQは、mGluR1に対して特異的な結合を有し、生体におけるmGluR1イメージング剤として有望である事が示唆された。
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