2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子NF-κB阻害剤パルテノライドによる放射線増感とその分子メカニズムの解明
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22591381
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
林 幸子 福井大学, 医学部, 助教 (00218570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 英樹 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (40142377)
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Keywords | NF-κB阻害剤 / パルテノライド / Apoptosis / ras/raf/MAPK / PC3細胞 / DU145細胞 |
Research Abstract |
癌細胞の抗腫瘍効果に関与する転写因子NF-κBをターゲットとする生薬の成分Parthenolide (PTL)を用いてヒト前立腺癌Androgen-independent PC3及びDU145細胞株における温熱増感効果を検討した。PC3及びDU145の両細胞においてHyperthermia(HT)にPTLを併用すると単独処理に比べ顕著な増感効果を示した。また温熱耐性が誘導されるStep-up heatingに対してもPTLを併用すると耐性誘導を抑制し有意な増感効果を示した。PTLの温熱増感効果のメカニズムについて次の解析を行った。PTL及びHTの併用治療はそれぞれ単独治療に比ベアポトーシス誘導及びG_2M arrestが増加し抗腫瘍効果を増強した。即ちflow cytometryで解析したcell-cycle distributionによるアポトーシス誘導動態の画分はPTL単独でも有意に誘導されるがPTLとHTとの併用により相乗的に誘導されHT単独の約4倍であった。Flow Cytometryによる細胞周期の画分ではHTに比べてPTL単独でG_2M phaseの増加が観られ、HTとの併用では相乗的なG_2Mphaseの増加とともにG_1 phaseの増加が観られた。またPTLとHTとを併用することによりNF-κB活性の抑制効果及びアポトーシス誘導は関連した。即ちPC3及びDU145細胞のG1及びG_2M arrestによりアポトーシスが誘導されるか或いはNF-κB活性の抑制効果により細胞増殖が抑制されることが示唆された。種々治療の耐性の原因となるras遺伝子が関与するRas/Raf MAPKシグナルへの関与の解明はwestern blot法により行った。両細胞においてMAPKシグナル経路の3つの経路ERK1/2、JNK、及びp38MAPKについて解析した。3経路のうちERK1/2が最もリン酸化を受けたことからPTLの増感効果はRas/Raf/MAPKシグナル伝達経路のERK経路を介したアポトーシス誘導による温熱増感効果であることが示唆された。併せて両細胞はp53遺伝子に関してPC3細胞はnullでDU145細胞はmutantであるのでp53 independentであることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NF-kappaB阻害剤、パルテノライド、の抗腫瘍効果についての動力学的-分子生物学的観点からそのメカニズムを解析し、学会及び論文で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、パルテノライドの抗腫瘍増感効果についてRas/Raf/MAPKシグナル伝達経路以外の細胞増殖抑制或いはアポトーシス誘導に寄与するF-κB阻害効果の分子メカニズムの機構の解明を行う。
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Research Products
(4 results)